Claudeだけで SaaS の全設計を1日で完了──ソロ開発者が実践した「段階的詳細化」と「専門家パネル」テクニック

お知らせ

ソロ開発者がClaude AIを活用し、たった1日で SaaS プロジェクトの設計を丸ごと完了させた事例が話題になっている。ビジネス戦略書、ランディングページ設計、LLMコスト分析、グローバル展開戦略など20もの成果物を、コンサルティング会社に依頼すれば数週間・数万ドル相当になる作業をゼロコストで仕上げたという。本記事では、その具体的な手法と得られた知見を紹介する。

この記事のポイント

  • 「段階的詳細化(Progressive Detailing)」で抽象→具体へ会話を深め、精度の高いアウトプットを引き出す
  • Claude に6人の専門家パネルをシミュレーションさせ、多角的な視点でプロジェクトをレビューさせる
  • AI が出した数値や仮説は「検証前の仮説」であり、ローンチ後のデータで裏付けが必要

段階的詳細化(Progressive Detailing)

著者が最も重視したのは、Claude への質問を一気に投げるのではなく、段階的に深めていくアプローチだ。

具体的には以下のように会話を進めている。

  • ターン1:「占いアプリはビジネスとして成り立つか?」(抽象的な問い)
  • ターン2:「無料プランと有料プランの収益モデルを設計して」(具体的)
  • ターン3:「無料プランのAPIコストをトークン単位で計算して」(非常に具体的)
  • ターン4:「プロンプトキャッシュを使ったシナリオA/B/Cを比較して」(超具体的)

「ビジネスプランを書いて」と一発で頼むと汎用的な回答しか返ってこない。しかし徐々に深度を上げていけば、各ステップがそれまでの文脈をフルに活用するため、結果の精度が劇的に向上する。これは Claude のコンテキストウィンドウを最大限に活かす戦略であり、ソロ開発者がAIを「思考パートナー」として使いこなすための鍵となるテクニックだ。

専門家パネル・シミュレーション

著者が「最も効果的だった」と語るのが、Claude に複数の専門家をロールプレイさせる「エキスパートパネル・シミュレーション」だ。

具体的には、以下の6人の専門家を指名し、名前と視点を与えたうえで、現在のプロジェクトステータス(STATUS.md)をレビューさせた。

  1. PM(プロダクトマネージャー) – タスク優先度を整理
  2. Biz Dev(事業開発) – 市場前提に疑問を投げかける
  3. ローカライゼーション専門家 – 現地化の課題を指摘
  4. 米国市場エキスパート – 海外展開の視点
  5. フルスタック開発者 – 技術的な複雑さを警告
  6. UI/UXデザイナー – ユーザー体験の懸念を提起

ソロで開発していると、自分の視点しか持てない。このテクニックを使えば、一度に6つの異なる視点を得られる。もちろん本物の専門家6人と同等ではないが、ソロ開発者が見落としがちな盲点を発見するには驚くほど効果的だという。

パネルから生まれた具体的な意思決定

この専門家パネル・セッションから、いくつかの重要な戦略転換が生まれた。

  • ログイン壁の撤廃:PMがマジックリンク認証が最大の離脱ポイントだと指摘し、無料の分析機能を完全匿名に切り替えた
  • 無料プランコストの94%削減:フルLLM呼び出しの代わりに、アルゴリズム整形+1行AI要約にすることで、リクエスト単価を$0.085から$0.005に削減
  • 事業者登録の前倒し:決済連携に必要なため、ユーザー検証を待たず即座に登録を開始
  • GA4とレート制限は必須:アナリティクスなしは「目隠し運転」、無料APIにレート制限なしは「コスト爆弾」
  • KakaoTalk共有とOG画像の優先対応:韓国市場向け占いサービスではバイラル共有が成長の鍵
  • グローバル展開は保留:国内コンバージョン率が3%に達するまで海外展開は棚上げ

知っておくと便利なTips

  • Claude への指示で「専門家に名前と立場を与える」と、キャラクターの一貫性が増し、議論の質が上がる
  • STATUS.md のようなプロジェクト現況ドキュメントを先に整理しておくと、パネルレビューの精度が格段に向上する
  • 「段階的詳細化」はビジネス設計だけでなく、技術設計やマーケティング戦略の立案にも応用できる
  • AI が出力した具体的な数値(「コンバージョン率30%」など)は仮説であり、ローンチ後に実データで検証する前提で扱うべき

まとめ

本記事は、ソロ開発者がClaude AIを単なるコード生成ツールとしてではなく、「戦略コンサルタント」「専門家チーム」として活用した実践的な事例だ。特に「段階的詳細化」と「専門家パネル・シミュレーション」の2つのテクニックは、再現性が高く、あらゆるプロジェクトの初期設計フェーズに応用できる。ただし著者自身が注意喚起しているように、AIが生成した数値や仮説には経験的な裏付けがなく、あくまで「検証すべき仮説」として扱う必要がある。AIの出力を鵜呑みにせず、ローンチ後のデータで検証するという冷静な姿勢が、AI活用の成功と失敗を分けるポイントだろう。


📎 元記事: https://dev.to/ji_ai/how-i-designed-an-entire-saas-using-claude-alone-5c6e

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