AIエージェント向けスキルマーケットプレイス「ClawHub」を運営するOpenClaw(旧Moltbot/Clawdbot)が、Google傘下のVirusTotalと提携し、アップロードされるスキルのセキュリティスキャンを開始した。エージェントAIエコシステムの安全性強化に向けた重要な一歩として注目されている。
この記事のポイント
- OpenClawがVirusTotalと提携し、ClawHubに公開される全スキルのセキュリティスキャンを実施
- SHA-256ハッシュによる照合とCode Insight機能による新規スキルの解析を組み合わせた多層防御
- 巧妙なプロンプトインジェクションの検出には限界があることも公式に認めている
VirusTotalスキャンの仕組み
今回の連携では、ClawHubに公開されるすべてのスキルがVirusTotalの脅威インテリジェンスを使ってスキャンされる。具体的には、各スキルに固有のSHA-256ハッシュが付与され、まずVirusTotalの既存データベースと照合される。既知のマルウェアと一致するものがあれば、即座にブロックされる仕組みだ。
データベースに一致するものがない新規スキルについては、VirusTotalの新機能「Code Insight」による詳細な解析が行われる。この解析結果に基づき、「安全(benign)」と判定されたスキルは自動的に承認され、「疑わしい(suspicious)」とされたスキルには警告フラグが付与される。そして「悪意あり(malicious)」と判定されたスキルについては、ダウンロード制限が適用される。さらに、すでに公開されているアクティブなスキルについても日次で再スキャンが実施されるため、後から脅威が発見された場合にも対応できる体制が整えられている。
検出の限界と今後のセキュリティロードマップ
OpenClawのメンテナーは、今回のVirusTotalスキャンが「銀の弾丸ではない(not a silver bullet)」ことを率直に認めている。特に、巧妙に隠蔽されたプロンプトインジェクションのペイロードは、現状の検出メカニズムをすり抜ける可能性があるという。これは、AIエージェント特有の攻撃手法であるプロンプトインジェクションが、従来のマルウェア検出とは異なるアプローチを必要とすることを示している。
VirusTotalとの連携にとどまらず、OpenClawは包括的な脅威モデルの公開、セキュリティロードマップの策定、正式なセキュリティ報告手順の整備、そしてコードベース全体のセキュリティ監査の詳細公開を計画している。これらの取り組みにより、エコシステム全体の透明性と安全性を高める狙いがある。
背景:深刻化するエージェントAIのセキュリティ問題
今回の対策強化の背景には、ClawHub上で数百もの悪意あるスキルが発見された最近の事態がある。これらの悪意あるスキルは、正規のツールを装いながら、データ窃取、バックドアの設置、スティーラーマルウェアの配布といった悪質な機能を内包していた。
OpenClawとその関連ソーシャルプラットフォーム「Moltbook」の人気が高まるにつれ、プロンプトインジェクション攻撃、認証情報の漏洩、設定ミスによる脆弱性といったセキュリティ上の懸念が急速に拡大している。AIエージェントが外部のスキルやプラグインを利用する仕組みは、利便性を大きく向上させる一方で、サプライチェーン攻撃の新たな攻撃面を生み出している現実がある。
知っておくと便利なTips
- ClawHubからスキルをインストールする際は、VirusTotalの検証ステータスを確認してから利用するのが安全
- AIエージェントのスキル・プラグインのサプライチェーンセキュリティは今後ますます重要になるため、信頼できるソースからのみスキルを導入する習慣をつけたい
- プロンプトインジェクションに対する防御は自動スキャンだけでは不十分なため、スキルの実行権限を最小限に絞る設定も併用すべき
まとめ
OpenClawによるVirusTotalとの連携は、AIエージェント向けスキルマーケットプレイスのセキュリティを大きく前進させる取り組みだ。SHA-256ハッシュ照合とCode Insightによる多層的なスキャン、日次の再スキャンなど、包括的な防御体制が構築されている。一方で、プロンプトインジェクションのような新しい攻撃手法に対しては依然として課題が残されており、今後公開予定の脅威モデルやセキュリティ監査の成果が期待される。AIエージェントのエコシステムが拡大する中、こうしたセキュリティ対策はすべてのプラットフォームにとって避けて通れない課題となっている。
📎 元記事: https://thehackernews.com/2026/02/openclaw-integrates-virustotal-scanning.html


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