Claude Codeを日常的に使っている開発者が、自分自身の「曖昧な要件定義」こそが最大の問題だと気づき、コード生成の前にソクラテス式問答を行うCLIツール「Ouroboros」を開発しました。要件の曖昧さスコアが0.2未満になるまでコード生成を開始しない、という大胆なアプローチが注目を集めています。
この記事のポイント
- Claude Codeの問題は「モデルの性能」ではなく「人間の要件定義の曖昧さ」にあるという視点
- コード生成前にソクラテス式インタビューで要件を徹底的に深掘りするCLIツール「Ouroboros」
- タスクの重要度に応じてモデルを動的に切り替える「ダイナミックモデルルーティング」機能
- エージェントが行き詰まった際に異なる思考パターンで打開する「マルチペルソナリカバリー」機構
Ouroborosとは何か
Ouroborosは、AIによるコード生成の前段階に「ソクラテス式インタビュー」を挟むことで、要件の曖昧さを排除するCLIツールです。開発者は、Claude Codeを数ヶ月使い続ける中で、生成されたコードの品質問題の根本原因がモデルではなく、自分自身の「中途半端な要件定義」にあることに気づきました。
具体的には、「なぜそれが本当に必要なのか?」「ここで何を前提としているのか?」といった本質的な質問を繰り返し、要件の曖昧さスコア(ambiguity score)が0.2を下回るまでコード生成を開始しません。この「コードを書かない勇気」こそが、結果的に開発効率を大幅に向上させるという考え方です。
コア機能:3つの柱
1. ソクラテス式インタビュー
Ouroborosの中核となる機能です。コードを1行も書く前に、「なぜ(Why)」と「どのように(How)」を徹底的に深掘りします。開発者がよくやりがちな「とりあえず動くものを作って後から直す」というアプローチではなく、最初の段階で要件を明確化することで、手戻りを最小限に抑えます。AIが質問を投げかけ、開発者が答えることで、自分でも気づいていなかった前提条件や矛盾点が浮き彫りになります。
2. ダイナミックモデルルーティング
すべてのタスクに高性能(高コスト)なモデルを使うのではなく、タスクの性質に応じてモデルを動的に切り替える仕組みです。シンプルなタスクや初期のブレインストーミングには安価なモデルを使用し、不可逆な操作やアーキテクチャ上重要な判断が必要な場面でのみ高性能モデルを投入します。これにより、APIコストを最適化しつつ、重要な局面では最高品質の出力を得ることができます。
3. マルチペルソナリカバリー
エージェントが問題解決に行き詰まった際、異なる「人格(ペルソナ)」を切り替えて打開を図る機能です。3つのペルソナが用意されています:
- ハッカー(The Hacker):技術的な解決策を力技で突破する
- シンプリファイア(The Simplifier):スコープを積極的に削り、前進できる道を見つける
- コントラリアン(The Contrarian):そもそもの前提を疑い、正しい問題を解いているか検証する
この仕組みにより、1つの思考パターンに固執して堂々巡りになることを防ぎます。
なぜこのアプローチが重要なのか
AIコード生成ツールが急速に普及する中、多くの開発者が「AIが生成したコードのデバッグに時間がかかる」という問題に直面しています。しかし、その原因の多くはAIの性能不足ではなく、入力する要件の質にあります。
プログラミングの世界には「Garbage In, Garbage Out(ゴミを入れればゴミが出る)」という格言がありますが、Ouroborosはまさにこの問題に正面から取り組んでいます。要件定義の段階で曖昧さを排除することで、生成されるコードの品質を根本から改善しようというアプローチです。
これは、Claude Codeのようなエージェント型AIツールと組み合わせることで特に効果を発揮します。エージェントは与えられた指示に忠実に従うため、指示の質がそのまま成果物の質に直結するからです。
知っておくと便利なTips
- AIコード生成で品質が安定しないと感じたら、まず自分の要件定義を疑ってみる。「何を作るか」だけでなく「なぜ作るか」「何を前提としているか」を明文化するだけで大幅に改善することが多い
- タスクの重要度に応じてモデルを使い分ける考え方は、Ouroboros以外の場面でも応用できる。日常的なコード生成にはHaikuクラス、アーキテクチャ設計にはOpusクラスなど、意識的に使い分けることでコストパフォーマンスが向上する
- 問題解決に行き詰まったときは、意図的に視点を切り替えてみる。「技術的にどう解くか」「スコープを削れないか」「そもそも正しい問題か」の3つの視点は、AI活用に限らず有効なフレームワーク
まとめ
Ouroborosは、AIコード生成における「要件定義の曖昧さ」という根本的な課題に対する独創的なアプローチを提示しています。ソクラテス式インタビューによる要件の深掘り、タスク重要度に応じたモデルの動的切り替え、そして行き詰まり時のマルチペルソナリカバリーという3つの柱は、AI時代の開発ワークフローに新しい視点を与えてくれます。Claude Codeユーザーにとって、「AIをうまく使うには、まず自分の考えを整理する必要がある」という教訓は、ツールの導入有無にかかわらず価値のある気づきと言えるでしょう。
📎 元記事: https://www.reddit.com/r/ClaudeAI/comments/1qzic31/i_made_a_cli_that_argues_with_you_before_writing/


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