「ゲームを作ってくれ」と依頼して寝た。翌朝目覚めると、完全なゲームが完成していた——これは誇張ではなく、実際に起きた出来事です。Senthil Kumaranさんは、Claude Codeのエージェントモードを使って、Linuxのパズルゲーム「Hitori」のWeb版を開発しました。驚くべきことに、開発中に一度もエディタやIDEを開くことはなかったそうです。すべてがコマンドプロンプトから完結した、新しい開発体験について紹介します。
この記事のポイント
- Claude Codeのエージェントモードで、一晩でゲームが完成
- DjangoバックエンドとJavaScriptフロントエンドのフルスタック構成
- エディタやIDEを一切開かず、コマンドラインのみで開発
- Kubernetesへのデプロイまで自動化
Hitoriとは
Hitoriは、数独に似たロジックパズルゲームです。グリッド上に数字が配置されており、プレイヤーは特定のルールに従ってマス目を塗りつぶしていきます。各行・各列に同じ数字が重複しないようにしつつ、塗りつぶされていないマスが連続してつながっている必要があります。
もともとLinux向けにC言語で実装されていたこのゲームを、Senthilさんは研究のために調査していました。アーキテクチャを分析し、どのように実装されているかをメモしていたところ、「これをWeb版として再実装できるのではないか」というアイデアが浮かびました。
通常であれば、この規模のプロジェクトは数日から数週間かかる作業です。バックエンドの設計、フロントエンドの実装、APIの連携、テスト、デプロイ——すべてを自分で行う必要があります。しかし、Claude Codeのエージェントモードは、この常識を覆しました。
開発プロセス
Senthilさんのアプローチは、驚くほどシンプルでした。
まず、プロジェクトの土台を自分で用意しました。Djangoをバックエンドに、JavaScriptをフロントエンドに使うという基本的なアーキテクチャを決定し、初期セットアップを行いました。そして、Claude Codeに元のC言語実装を参照させ、「同様のものをクライアント・サーバーアーキテクチャで、Pythonバックエンド・JavaScriptフロントエンドで、Webブラウザでプレイできるように実装してくれ」と指示しました。
ここで重要なのは、エージェントモードを有効にし、「dangerously skip permissions(危険なパーミッションをスキップ)」オプションを設定したことです。これにより、Claude Codeはファイル操作やコマンド実行の許可を毎回求めることなく、自律的に作業を進められます。
いくつかのプロンプトに「Yes」と答えた後、Senthilさんは眠りにつきました。そして翌朝——
翌朝の驚き
目覚めたとき、画面には完成したゲームがありました。
「私は『なんということだ』と思いました。丸一日、何が起きたのか信じられませんでした」とSenthilさんは振り返ります。
ゲームは完全に動作していました。パズルの生成、ルールの検証、ユーザーインターフェース——すべてが実装されていました。Senthilさんがやったことは、ただプレイすることだけでした。
しかし、彼はそこで止まりませんでした。ゲームをさらに改良するため、ログインシステムの追加とゲームボードの改善を依頼しました。これには少し時間がかかりましたが、同様にAIが自律的に実装しました。そして最後に、Kubernetesクラスターへのデプロイも依頼。これも問題なく完了しました。
エディタを開かない開発
この体験で最も印象的なのは、開発プロセス全体を通じてエディタやIDEを一度も開かなかったことです。
従来のソフトウェア開発では、コードエディタは不可欠なツールでした。ファイルを開き、コードを書き、保存し、実行する——この繰り返しが開発の基本でした。しかし、Claude Codeのエージェントモードは、この常識を根本から変えました。
開発者はコマンドプロンプトで指示を出し、AIがコードを書き、ファイルを作成し、テストを実行し、エラーを修正する。人間の役割は、方向性を示し、結果を確認し、フィードバックを与えることに変わりました。
「これは私が開発した最初のゲームで、エディタやIDEをまったく開かなかったものです。すべてをコマンドプロンプトから完結させました。これは新しい経験でした」とSenthilさんは述べています。
完成したゲーム
完成したHitoriは、現在 https://hitori.learntosolveit.com で公開されています。実際にプレイして、AIが生成したコードの品質を確認することができます。
技術スタックは以下の通りです:
– バックエンド:Django(Python)
– フロントエンド:JavaScript
– デプロイ:Kubernetes
ログイン機能も実装されており、プレイ履歴を保存することも可能です。
知っておくと便利なTips
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エージェントモードの活用場面: 明確なゴールがあり、参照となる実装や仕様がある場合に特に効果的です。「このゲームを再実装」「このAPIと同等のものを作成」など、具体的な目標を設定しましょう。
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危険なパーミッションスキップの注意点: このオプションを有効にすると、AIがファイルシステムやコマンドラインを自由に操作できるようになります。信頼できる環境で、重要なファイルがない場所で使用することをお勧めします。
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参照実装の重要性: Senthilさんが成功した理由の一つは、元のC言語実装をClaude Codeに参照させたことです。AIに「何を作るか」だけでなく「どのように作るか」の参考を与えることで、より正確な実装が得られます。
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段階的な機能追加: 最初にコア機能を完成させ、その後でログイン機能やUI改善を追加するアプローチは、AIとの協働でも有効です。一度にすべてを依頼するよりも、段階的に進める方が成功率が高くなります。
まとめ
Senthilさんの体験は、AI支援開発の新たな可能性を示しています。明確なビジョンと適切な参照材料があれば、Claude Codeのエージェントモードは驚くべき自律性でソフトウェアを開発できます。
もちろん、すべてのプロジェクトがこのように進むわけではありません。複雑な要件、曖昧な仕様、既存システムとの統合など、人間の判断が必要な場面は多くあります。しかし、「一晩でゲームが完成した」という事実は、私たちの開発ワークフローがどこまで変わりうるかを示す興味深い事例です。


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