Warpターミナル完全ガイド
1. Warpとは何か
Warpは、従来のターミナルの概念を根本から再設計した次世代のターミナルアプリケーションです。単なるコマンドラインインターフェースを超え、「エージェント型開発環境(Agentic Development Environment)」として位置づけられています。公式サイトでは「The terminal with agents built in」というキャッチコピーで表現されているように、AIエージェント機能を中核に据えた革新的なツールです。
Warpの使命は「開発者がより良いソフトウェアをより迅速に出荷できるようにし、仕事の創造的でやりがいのある側面に集中できるようにすること」と明言されています。AIが開発者を置き換えるのではなく、開発者に「スーパーパワー」を与え、人間とAIが協力してより良いソフトウェアを一緒に出荷するという未来を目指しています。
現在、50万人以上のエンジニアに利用されており、多くの大手企業でも採用されています。
2. 会社概要と背景
創業とビジョン
Warpは、ターミナルという開発者にとって根本的なツールを再構築するというビジョンから生まれました。従来のターミナルは数十年間ほとんど変わっておらず、現代の開発ワークフローに最適化されていないという課題がありました。
資金調達と投資家
Warpは、トップクラスのベンチャーキャピタルおよび業界のリーダーたちから支援を受けています。主な投資家には以下が含まれます:
- Sequoia Capital
- Neo
- Box Group
- Dylan Field(Figma共同創業者兼CEO)
- Jeff Weiner(LinkedIn元CEO)
- Marc Benioff(Salesforce創業者兼CEO)
- Sam Altman(OpenAI共同創業者兼CEO)
- Elad Gil(AirBnB、Pinterest、Stripe、Squareの初期投資家)
これらの投資家の顔ぶれは、Warpがいかに注目されているかを物語っています。
技術基盤
WarpはRust言語で開発されており、高いパフォーマンスと安全性を実現しています。レンダリングエンジンとしてMetal、OpenGL、Vulkan、DirectX、WGPUを使用し、クロスプラットフォームで高速な描画を可能にしています。
3. 対応プラットフォームとインストール方法
対応OS
Warpは以下のプラットフォームで利用可能です:
- macOS:バージョン10.14以降
- Linux:Debian/Ubuntu(.deb)、Red Hat/Fedora/SUSE(.rpm)、Arch Linux(.tar.zst)、AppImage
- Windows:Windows 10/11(x64およびARM64)
シェルサポート
以下のシェルをサポートしています:
- Zsh
- Bash
- Fish
- PowerShell
- WSL(Windows Subsystem for Linux)
- Git Bash
インストール方法
macOS
brew install --cask warp
Windows
winget install Warp.Warp
Linux(Debian/Ubuntu)
公式サイトから.debパッケージをダウンロードするか、各種パッケージマネージャー経由でインストール可能です。
4. 主要機能
4.1 AIエージェント機能
Warpの最大の特徴は、AIエージェントを中核に据えた開発環境である点です。
Terminal-BenchおよびSWE-benchでの評価
Warpのエージェントは、Terminal-Benchで第1位、SWE-bench Verifiedで第5位(75.6%)にランクされています(2025年11月時点)。これは、ターミナル操作とソフトウェアエンジニアリングタスクの両方において、業界トップクラスの性能を持っていることを示しています。
マルチモデル対応
Warpは複数の最先端AIモデルにアクセスできます:
- OpenAI GPT-5.2
- Claude Sonnet 4.5
- Claude Opus 4.5
- Gemini 3 Pro
ユーザーはタスクに最適なモデルを選択でき、異なるタスクで異なるモデルを並行して実行することも可能です。この「マルチモデルアドバンテージ」により、常に市場で最高のモデルを利用できます。
Full Terminal Use(完全ターミナル制御)
WarpのAIエージェントは、市場で唯一「Full Terminal Control」を持つツールです。これにより、エージェントは以下のことが可能です:
- インタラクティブなターミナルコマンドの実行
- REPL、デバッガー、topなどのCLIアプリ内での作業
- MCPやコードベース埋め込みなどのツールの使用
自然言語でのターミナル操作
ユーザーは自然言語でターミナルに話しかけることができます。コマンドの生成からエラーの説明まで、AIがサポートします。vim のようなインタラクティブシェルやREPL内でもAIを使用できます。
4.2 モダンターミナル機能
Blocks(ブロック)
Warpが生み出した革新的な概念で、入力と出力をグループ化して表示します。これにより:
- 特定のコマンドと出力の検索が容易
- フィルタリング機能
- チームメイトとの出力共有が可能
コード編集のようなコマンドライン操作
従来のターミナルとは異なり、Warpではマウスとカーソルをコマンドライン上に配置でき、お気に入りのテキストエディタと同様の編集体験を提供します。
Universal Input
すべての入力を統一したインターフェースで処理します:
- 自然言語またはCLIコマンドの実行
- 「@」を使ったコンテキストの追加
- vim スタイルのキーバインディングでのナビゲーション
カスタマイズ性
Warpは高度にカスタマイズ可能です:
- カスタムテーマ
- キーバインディング
- プロンプトスタイル
- 入力位置(画面の上部または下部にピン留め)
- 背景画像
- 不透明度設定
プロンプトサポート
以下の人気プロンプトツールをサポート:
- PS1
- Starship
- Spaceship
- Powerlevel10k(P10K)
- Oh My Posh
- Oh My Zsh
4.3 エージェント管理機能
Agent Management Panel
複数のエージェントを同時に実行し、複雑なタスクに取り組む進捗を追跡できます。必要なときに簡単に介入することも可能です。
Agent Profiles、Permissions、Autonomy
エージェントの動作を細かくカスタマイズできます:
- 使用するモデルの選択
- 自律性のレベル設定
- 読み取り、書き込み、コマンド実行の権限設定
- 毎ステップの承認から完全自律まで調整可能
Agent Task Lists
複雑なエージェントワークフローを追跡・管理するための自動タスクリスト機能があり、リクエストを明確で実行可能なステップに分解し、進捗をリアルタイムで更新します。
4.4 コーディング支援機能
Agent Context
プロンプトにマルチモーダルなコンテキストを添付できます。CLIツール、MCPサーバー、チームリソースからのビルトイン知識に加えて、画像やURLの添付も可能です。
Modern Code Editor
CLIベースの他のコーディングツールとは異なり、Warpには完全なネイティブコードエディタが含まれています。エージェントが書いたコードに対する迅速な改善に最適化されています。
Codebase Context
大規模なマルチリポジトリコードベース全体でコードを書けます。リアルタイムインデックス作成により、正確でコンテキストを認識した応答が可能です。コードはWarpサーバーに保存されません。
Suggested Code Diffs
コマンドラインで発生したエラーに対して、潜在的な修正を自動的に提案します。
4.5 コラボレーション機能
Warp Drive
Warpは以下のような知識をクラウドベースで一元管理します:
- Workflows:再利用可能なパラメータ化されたコマンド
- Notebooks:ターミナルに住むインタラクティブなランブック
- Prompts:保存・再利用可能なパラメータ化されたエージェントモードプロンプト
- Rules:エージェントがコーディング標準、プロジェクト規約、個人設定に従うようにするガイドライン
- Environment Variables:セッションにロードする環境変数の保存・同期
Session Sharing
セッションとコマンドライン制御を共有できます。リアルタイムのセッションリンクと共有可視性により、誰でもエージェントの作業を確認、ガイド、レビューできます。
4.6 統合機能
MCP(Model Context Protocol)
MCPを使用して外部コンテキストをWarpで利用可能にします。Linear、Figma、Slack、SentryなどのサービスからMCPサーバーを追加できます。
WARP.md
業界標準のMDファイル(agents.md、claude.mdと互換性あり)を使用して、エージェントに共有する情報を統合できます。
外部サービス連携
WarpをSlack、Linear、GitHubに接続して、ツール内でAIヘルプを直接受けられます。@Warpをメンションするだけで、バグの調査、修正の提案、PRのオープンが可能です。
5. セキュリティとプライバシー
SOC 2準拠
WarpはSOC 2に準拠しており、エンタープライズレベルのセキュリティを提供します。
Zero Data Retention(ZDR)
契約したすべてのLLMプロバイダーとの間でゼロデータ保持ポリシーを施行しています。顧客データが保持、保存、またはトレーニングに使用されることはありません。個人設定またはチーム全体での自動適用が可能です。
完全な透明性
アプリ分析のために送信されるハイレベルのテレメトリイベントのリストを公開しています。ネイティブのNetwork Log機能でテレメトリをリアルタイムで監視できます。
自律性の制御
エージェントにどの程度の自律性を与えるかを正確に制御できます。毎ステップの承認から完全自律まで、個人およびエンタープライズレベルで設定可能です。
Secret Redaction
APIキーなどの機密値を自動的に隠します。作業中やターミナルコンテンツを共有する際の露出リスクを軽減します。
テレメトリの無効化
分析とクラッシュレポートを無効にするオプションがあります。
6. 料金プラン
Free(無料)
- 月額:$0
- 無料のAIクレジット付き(最初の2ヶ月は150/月、その後は75/月)
- OpenAI、Anthropic、Googleの最先端モデルへの限定アクセス
- 限定的なコードベースインデックス(3つのコードベース、各3,000ファイル)
- 最先端のモダンターミナル
- 個別設定可能なZero Data Retention
Build(個人向け推奨)
- 月額:$18(年払いで10%オフ)
- 月1,500 AIクレジット
- Ambient Agents(ベータ版)
- ファーストパーティ統合
- リロードクレジットとボリュームベース割引へのアクセス
- 独自APIキーの使用可能
- 最高のコードベースインデックス制限(40コードベース、各100,000ファイル)
- 無制限のWarp Driveオブジェクトとコラボレーション
- プライベートメールサポート
Business(チーム向け)
- 月額:$45/ユーザー(最大50シート)
- Buildのすべての機能に加えて:
- チーム全体で自動適用されるZero Data Retention
- SAML-based SSO
- 管理者ダッシュボード
Enterprise(大規模組織向け)
- カスタム価格
- Businessのすべての機能に加えて:
- カスタムコンピューティング環境
- 専任アカウントマネージャー
- ホワイトグローブオンボーディング
- Bring your own LLM
7. 開発ワークフローへの統合
ソフトウェア開発ライフサイクル全体をカバー
Warpはターミナルレベルで構築されているため、以下のすべてが可能です:
- コードの作成:コードベースの理解、コード作成、デバッグのためのエージェント型ワークフロー
- メンテナンス:ユーザーログの要約、Sentryエラーのデバッグ、REPLでのSQLクエリ生成
- デプロイ:任意のCLIツールと連携し、バージョン管理、CI/CD、デプロイワークフローにエージェントサポートを提供
4ステップのワークフロー
- Prompt and plan your work:やりたいことをエージェントに伝え、コンテキストを提供。/planを使用して詳細で調整可能なロードマップを作成。
- Agent writes code:コードベースに合わせたコードをWarpが作成。すべての行が表示・編集可能で、エージェントを停止せずにいつでも方向転換可能。
- Review and re-prompt:Warpのコードレビューインターフェースでコードを理解・改善。特定のdiffに対してエージェントに改善を依頼したり、軽量エディタでファイルを直接編集。
- Ship and maintain:コードの準備ができたら出荷。ログの監視、本番エラーの調査などが可能。
8. 競合製品との比較
Warpは、従来のターミナル(iTerm2、Terminal.app、Windows Terminal)とは根本的に異なるアプローチを取っています。また、CursorやCopilotのようなAI支援コーディングツールとも異なり、ターミナルレベルでの完全なAIエージェント統合を実現しています。
ユーザーの声として「私はかつてCursorに夢中でしたが、Warpを使った後、将来の開発フローがどのようなものになるかを理解しました。Warpは私が使った他のどのツールとも異なり、もう戻ることはありません」という評価があります。
9. まとめ
Warpは、従来のターミナルの概念を根本から再定義し、AIエージェントを中心に据えた次世代の開発環境です。その主な特徴は以下の通りです:
- AIファースト:Terminal-BenchとSWE-benchで高評価のAIエージェント
- マルチモデル対応:OpenAI、Anthropic、Googleの最新モデルへのアクセス
- Full Terminal Control:市場で唯一、完全なターミナル制御を持つAIエージェント
- モダンなUX:Blocks、Universal Input、高度なカスタマイズ性
- セキュリティ重視:SOC 2準拠、Zero Data Retention
- クロスプラットフォーム:macOS、Linux、Windows対応
開発者の生産性を飛躍的に向上させ、「開発者がAIエージェントのチームのテックリード」になる未来を実現するためのツールとして、Warpは業界をリードする存在になっています。
Warpは、これからの開発者にとって、コードエディタやIDEと並ぶ、あるいはそれを超える重要なツールになる可能性を秘めています。AIと協働して開発を行う新しい時代において、Warpは最前線に立つ選択肢の一つと言えるでしょう。
10. 実践的な活用シーン
サーバー管理者向け
サーバーインフラエンジニアにとって、Warpは日々の運用作業を大幅に効率化できます。例えば:
- トラブルシューティング:エラーログの解析やシステム状態の診断をAIエージェントに依頼し、問題の原因特定と解決策の提案を受けられます。
- 設定ファイルの作成・編集:Apache、Nginx、Postfixなどの複雑な設定ファイルを自然言語で指示して生成・修正できます。
- スクリプト作成:監視スクリプトやバックアップスクリプトなどの自動化ツールをAIと協働して素早く作成できます。
- ドキュメント作成:サーバー構成や手順書をターミナル上で直接作成・管理できます。
セキュリティ専門家向け
バグバウンティハンターやペネトレーションテスターにとっても、Warpは強力なツールとなります:
- 偵察フェーズ:ターゲットに関する情報収集コマンドの生成と結果の分析をAIがサポート。
- 脆弱性分析:発見した脆弱性についてAIに説明を求め、エクスプロイトの可能性を議論できます。
- レポート作成:発見事項を整理し、報告書の下書きをターミナル上で作成できます。
DevOps/SRE向け
CI/CDパイプラインの構築やインフラのコード化においても、Warpは大きな力を発揮します:
- IaCテンプレート作成:Terraform、Ansible、CloudFormationなどのテンプレートをAIと協働して作成・デバッグ。
- Kubernetesマニフェスト:複雑なk8s設定を自然言語で指示して生成。
- 障害対応:本番環境のインシデント発生時、AIエージェントがログ分析や原因調査をサポート。
11. 導入時の考慮事項
メリット
- 学習コストの削減:コマンドを覚えていなくても自然言語で操作可能
- 生産性の向上:平均して1日1時間の時間節約を実現
- コンテキスト維持:Blocksにより、過去の作業内容を簡単に参照可能
- チーム連携:Warp Driveによるナレッジ共有とセッション共有
考慮すべき点
- インターネット接続:AI機能の利用にはネットワーク接続が必要
- データプライバシー:機密性の高い環境では、Zero Data Retentionの設定やBring your own LLMの検討が推奨
- コスト:個人開発者は無料プランで十分な場合も多いが、チームでの本格利用にはBuild以上のプランが推奨
移行のヒント
既存のターミナル(iTerm2、Terminal.appなど)からWarpへの移行は比較的スムーズです:
- 既存の.zshrc、.bashrcなどの設定ファイルはそのまま使用可能
- Starship、Oh My Zshなどのカスタマイズツールも互換性あり
- 既存のエイリアスやシェル関数も引き継がれます
12. 将来の展望
Warpチームは、開発者がAIエージェントのグループの「テックリード」になる未来を見据えています。コードエディタを開いてコードを書いたり、ターミナルを開いてコマンドを書いたりする代わりに、Warpを開いてコンピュータに機能の構築、バグの修正、本番環境の問題診断をプロンプトで指示する時代が来ると考えています。
最新の「Agents 3.0」では、完全なターミナル機能を持つ唯一のエージェントとして進化を続けており、今後もAIと開発者の協働を深化させる機能が追加されていくことが期待されます。
ターミナルという古くからあるツールを、AIの時代に合わせて根本から再設計したWarp。その革新性と実用性は、多くの開発者の支持を集めており、今後の開発環境の標準となる可能性を秘めています。


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