デジタル庁が「ガバメントAI」用の国産LLMを7件選定 ― tsuzumi 2やPLaMo 2.0など、2027年度の政府調達開始へ

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デジタル庁は2026年3月6日、政府向けAI環境「源内(げんない)」で試用する国内開発の大規模言語モデル(LLM)を7件選定したと発表した。NTTデータの「tsuzumi 2」やPreferred Networksの「PLaMo 2.0 Prime」など、国内の主要AIベンダーが名を連ねており、2027年度からの本格的な政府調達開始に向けた大きな一歩となる。

この記事のポイント

  • デジタル庁が国産LLM 7件を選定、15件の応募から厳選
  • 2026年度に全府省庁の約18万人の政府職員を対象とした大規模実証を予定
  • 2027年4月からガバメントAIとしての政府調達開始を目指す

選定された7つの国産LLM

デジタル庁が選定した国産LLMは以下の7件だ。

企業・団体 モデル名
NTTデータ tsuzumi 2
カスタマークラウド CC Gov-LLM
KDDI・ELYZA共同応募体 Llama-3.1-ELYZA-JP-70B
ソフトバンク Sarashina2 mini
日本電気(NEC) cotomi v3
富士通 Takane 32B
Preferred Networks PLaMo 2.0 Prime

2025年12月に行われた公募には15件の応募があり、そこから約半数となる7件が選ばれた。NTTデータやNEC、富士通といった大手SIerから、Preferred NetworksやELYZAといったAIスタートアップまで、幅広い企業が選定されている点が特徴的だ。特にKDDIとELYZAの共同応募体が選ばれたことは、通信キャリアとAIスタートアップの連携モデルとしても注目される。

選定基準と「国産LLM」へのこだわり

デジタル庁は選定にあたり、「日本語の語彙・表現に適合し、日本の文化・価値観を尊重した国産の大規模言語モデル」の活用が必要と判断している。この方針の背景には、行政文書特有の日本語表現への対応力や、政府データの取り扱いにおける安全保障上の観点があるとみられる。

選定基準として掲げられたのは以下の4点だ。

  1. 国内開発の確実性 — モデルの開発が国内で行われていることの証明
  2. 行政実務での実用性 — 政策立案や文書作成など、実際の行政業務で活用できる性能
  3. 開発の透明性 — モデルの学習データや開発プロセスの透明性確保
  4. 法令遵守 — 個人情報保護法をはじめとする関連法令への適合

海外の大手LLM(OpenAIのGPTシリーズやGoogleのGeminiなど)が市場を席巻する中、あえて国産モデルを選定するという判断は、技術的自律性とデータ主権の確保という観点から重要な意味を持つ。一方で、性能面で海外モデルとどこまで競争できるかは、今後の実証を通じて明らかになるだろう。

政府AI環境「源内」と今後のロードマップ

選定されたLLMは、デジタル庁が整備する政府向けAI環境「源内(げんない)」に搭載される。「源内」は政府職員が安全にAIを活用できる基盤として開発が進められており、今回の国産LLM選定はその中核を担う取り組みだ。

今後のスケジュールは以下のとおり。

  • 2026年3月 — 契約調整とシステム実装の準備開始
  • 2026年5月 — 大規模実証の開始
  • 2026年8月 — 「源内」での国内LLM試用開始
  • 2027年1月 — 評価結果の部分公表
  • 2027年4月 — ガバメントAIとしての政府調達開始

特に注目すべきは、2026年度に全府省庁の約18万人の政府職員を対象とした大規模実証が予定されていることだ。これほどの規模でLLMの実証実験を行う政府機関は世界的にも例が少なく、日本のデジタル行政改革における画期的な取り組みと言える。

知っておくと便利なTips

  • 「源内」は平賀源内にちなんだ命名とみられ、日本発のイノベーションへの志向が読み取れる
  • 選定された7モデルのうち、KDDI・ELYZAの「Llama-3.1-ELYZA-JP-70B」はMeta社のLlama 3.1をベースに日本語特化チューニングを施したモデルであり、純粋な「国産」とは異なるアプローチを取っている点が興味深い
  • 政府のAI活用は各国で加速しており、米国ではExecutive Order on AI(2023年)、EUではAI Act(2024年施行)など、規制と活用の両面で動きが活発化している

まとめ

デジタル庁による国産LLM 7件の選定は、日本の行政デジタル化とAI活用における重要なマイルストーンだ。NTTデータ、NEC、富士通、ソフトバンクといった大手から、Preferred NetworksやELYZAといったAI専業企業まで、国内AI産業の総力を結集した形となっている。2026年度の18万人規模の実証を経て、2027年度からの本格導入が実現すれば、世界でも有数の政府AI活用事例となるだろう。今後は実証段階での性能評価や、海外モデルとの比較検証の結果にも注目が集まる。


📎 元記事: https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/2091358.html

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