文科省調査で判明──校務に生成AIを活用する学校が約2割に到達、通知表所見や学校だより作成にも

文部科学省が実施した学校のデジタル化に関する最新調査により、全国の学校のうち17.2%が業務に生成AIを活用していることが明らかになった。学校だよりの下書き作成から通知表の所見欄執筆、児童・生徒の感想文分析まで、教育現場での生成AI活用が着実に広がりを見せている。

この記事のポイント

  • 全国の学校の17.2%が校務に生成AIを導入済みであることが文科省調査で判明
  • 「学校だより」のたたき台作成や通知表の所見欄執筆など、教員の文書作成業務を中心に活用
  • 授業で集めた児童・生徒の感想文を分析する用途にも利用が広がっている

校務における生成AI活用の実態

文部科学省が公表した学校のデジタル化調査によると、業務に生成AIを利用している学校の割合は17.2%に達した。約5校に1校が何らかの形で生成AIを校務に取り入れている計算になる。GIGAスクール構想による1人1台端末の整備が進む中、教員側の業務効率化ツールとしても生成AIの導入が進んでいることが数字で裏付けられた形だ。

具体的な活用事例としては、家庭に配布する「学校だより」のたたき台を生成AIに作成させるケースが報告されている。学校だよりは月1回程度発行される文書で、行事予定や校長メッセージなどを盛り込む必要があり、教員にとって一定の作成時間がかかる業務の一つだ。生成AIに下書きを任せることで、教員は内容の確認・修正に集中でき、業務時間の短縮が期待される。

通知表所見や感想文分析への応用

調査ではさらに踏み込んだ活用事例も明らかになった。児童・生徒の生活態度や長所などを記載する通知表の「所見欄」の作成に生成AIを使用するケースが確認されている。所見欄は教員が一人ひとりの児童・生徒について個別に文章を書く必要があり、1クラス30〜40人分の作成は大きな負担となっていた。生成AIを活用してたたき台を作成し、教員が内容を精査・修正するというワークフローが導入されつつある。

また、授業で集めた子どもの感想文を生成AIに分析させる活用法も報告された。大量の感想文から傾向や特徴的な意見を抽出することで、授業改善や個別指導に役立てる取り組みだ。従来は教員が一つひとつ読んで把握していた作業を、AIによる要約・分類で効率化している。

教育現場のAI活用が持つ意義と課題

17.2%という数字は、教育現場における生成AI活用がまだ初期段階にあることを示す一方で、すでに一定の広がりを持っていることも意味している。特に注目すべきは、活用の中心が「文書作成業務の効率化」にある点だ。教員の長時間労働が社会問題化する中、生成AIによる校務効率化は働き方改革の有力な手段として位置づけられる。

ただし、通知表の所見など児童・生徒の評価に関わる文書に生成AIを使用することについては、慎重な意見も存在する。AIが生成した文章をそのまま使用するのではなく、あくまで「たたき台」として活用し、教員自身が責任を持って最終的な内容を確認・修正するプロセスが重要だ。個人情報の取り扱いについても、生成AIに入力するデータの範囲や管理方法について各学校・自治体でガイドラインを整備する必要がある。

今後の展望と教育DXの方向性

文科省はGIGAスクール構想の次のフェーズとして、教育DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している。今回の調査結果は、生成AIが教員の業務負担軽減に寄与する可能性を示すものであり、今後さらに活用が広がることが予想される。

一方で、残りの約8割の学校ではまだ生成AIが導入されていない現状もある。導入が進まない要因としては、セキュリティやプライバシーへの懸念、教員のITリテラシーの差、予算の制約、活用ガイドラインの未整備などが考えられる。文科省や教育委員会が具体的な活用事例やガイドラインを共有し、安全かつ効果的な導入を支援していくことが求められる。

知っておくと便利なTips

  • 文科省の「学校のデジタル化に関する調査」は定期的に公表されており、教育ICT活用の最新動向を把握する上で重要な資料となっている
  • 生成AIを校務に導入する際は、個人情報を含むデータの入力範囲について事前にルールを定めることが推奨される
  • 所見欄などの文書作成では、生成AIの出力をそのまま使うのではなく「たたき台」として活用し、教員が最終確認する運用が一般的

まとめ

文科省の調査により、全国の学校の約2割が校務に生成AIを活用していることが明らかになった。学校だよりの下書き、通知表所見の作成支援、感想文の分析など、教員の文書作成業務を中心に活用が進んでいる。教員の働き方改革が叫ばれる中、生成AIは業務効率化の有力なツールとして定着しつつある。一方で、個人情報の取り扱いや評価文書におけるAI活用の適切な範囲については、引き続き議論と整備が必要だ。教育現場におけるAI活用は今後さらに拡大が見込まれ、その動向は注視に値する。


📎 元記事: https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2603/09/news104.html

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