「最初からちゃんと作れていなかった」— マスクのxAI、AIコーディングツールをゼロから再構築へ。Cursorの幹部2名を引き抜き

イーロン・マスク率いるAI研究機関xAIが、AIコーディングツールの開発を白紙に戻し、競合のCursorから2名の幹部を引き抜いて再構築に乗り出した。共同創業者の大量離脱が続く中、マスクは「xAIは最初から正しく構築されていなかった」と認め、AnthropicやOpenAIへの対抗を急いでいる。

この記事のポイント

  • xAIがAIコーディングツール開発を白紙撤回し、Cursorの幹部Andrew MilichとJason Ginsbergを採用
  • 当初の共同創業者11名中、残っているのはわずか2名。大規模な人事刷新が進行中
  • Tesla×xAIの共同プロジェクト「Macrohard」も並行して進行。ホワイトカラー業務を代替するAIエージェントを目指す

xAIコーディングツールの「失敗」と再出発

xAIの共同創業者であるZihang DaiとGuodong Zhangが退社した。その背景には、マスクがxAIのAIコーディングツールがAnthropicの「Claude Code」やOpenAIの「Codex」といった競合製品に太刀打ちできていないと不満を示したことがある。マスクは自ら「xAIは最初から正しく構築されていなかった。基礎から再構築する」と宣言した。

当初の共同創業者11名のうち、3年が経過した現在残っているのはわずか2名という異常事態だ。ディープラーニング研究所としてスタートしたxAIは、AnthropicやOpenAIとの競争に勝つため、大規模な人事刷新を余儀なくされている。レイオフはMacrohardプロジェクトやGrok Imagine(動画生成製品)の一部にも及んでいる。

Cursorから引き抜かれた2人の実力者

新たにxAIとSpaceXに加わったのは、Andrew MilichJason Ginsbergの2名。両者ともCursorで「Head of Engineering and Product(エンジニアリング&プロダクト責任者)」を務め、Cursorを年間売上20億ドル(約3,000億円)規模にまで成長させた立役者だ。

Andrew Milichはスタンフォード大学CS学部(AI専攻)出身。プライバシー重視のコラボレーションツール「Skiff」を共同創業し、250万ユーザーまで成長させた後、NotionがSkiffを買収。Notion Mailの開発を率いた経歴を持つ。Sequoia Scoutでもある。

Jason GinsbergはSkiffのCTOを務め、Apple、Sequoia Capitalでの勤務経験を持つ。スタンフォード大学CS修士号を取得している。

両者はマスクに直接レポートする形で、Grokのコーディング能力を「基礎から再構築する」ミッションを担う。Amazonでは最近、AI支援によるコード変更が原因で障害が発生したと報じられており、優秀なインフラ構築人材の重要性が改めて浮き彫りになっている。

「Macrohard」プロジェクトの全貌

xAIのコーディングツール再構築と並行して、Tesla×xAIの共同プロジェクト「Macrohard」も注目を集めている。2026年3月11日にマスクが発表したこのプロジェクトは、ホワイトカラーがコンピュータ上で行うあらゆる業務を代替できるAIエージェントの構築を目指している。

Macrohardは2層構造で設計されている。Grok(xAI側)が戦略的な指示を出す「マスターコンダクター」として機能し、TeslaのAIエージェントがリアルタイムで画面を監視しながらキーボードやマウスを操作して実務を遂行する。Teslaの独自AIチップ「AI4」とxAIのNvidiaベースのサーバーハードウェア上で動作する。

マスクは命名の由来について「企業全体の機能をエミュレートできるからMACROHARDと呼んでいる。Microsoftへの面白い参照だ」と説明。「リアルタイムで動作する唯一の本格的なスマートAIシステムになる。これは大きなことだ」と自信を見せた。

Teslaは2026年1月にxAIの株式取得に約20億ドルを投資しており、TeslaのAIソフトウェア担当VP Ashok Elluswamyがこの「ハイインパクトプロジェクト」への積極的な採用を発表している。

知っておくと便利なTips

  • AIコーディングツール市場の現状: Cursorは年間売上20億ドル規模に成長し、Claude CodeやGitHub Copilotと並ぶ主要プレイヤー。xAIの参入は市場競争をさらに激化させる
  • xAIの組織的課題: 共同創業者の大量離脱は、マスクの経営スタイルとAI研究者のカルチャーの衝突を示唆している。技術的な方向性の違いが根本原因とみられる
  • Macrohard vs 既存ツール: 個別のコーディング支援ではなく「企業全体の業務代替」を目指す点で、他のAIコーディングツールとは異なるビジョンを掲げている

まとめ

xAIのAIコーディングツール再構築は、単なる製品のやり直しではなく、組織全体の根本的な立て直しだ。共同創業者11名中9名が離脱するという異常事態の中、Cursorで実績を積んだ2名の幹部を迎え入れ、AnthropicのClaude CodeやOpenAIのCodexに対抗しようとしている。同時進行するMacrohardプロジェクトは、Tesla×xAIの融合によるさらに野心的なビジョンを示している。しかし、度重なるリセットと人材流出が続くxAIが、今度こそ「正しく構築」できるのか。AI業界の競争が激化する中、その答えが出るのはそう遠くないだろう。


📎 元記事: https://techcrunch.com/2026/03/13/not-built-right-the-first-time-musks-xai-is-starting-over-again-again/

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