GitHub Copilotの脆弱性「RoguePilot」発覚──Issueに仕込んだ隠し命令でGITHUB_TOKENが漏洩する危険性

雑記

GitHub Codespacesに潜んでいた脆弱性「RoguePilot」が、セキュリティ企業Orca Securityの研究者によって発見されました。この脆弱性を悪用すると、攻撃者がGitHub Issueに隠された悪意のある指示を埋め込み、GitHub Copilotを操ってリポジトリの認証トークン(GITHUB_TOKEN)を窃取できる可能性がありました。Microsoftは責任ある情報開示を受けて、すでにパッチを適用済みです。

この記事のポイント

  • GitHub Issueに隠されたプロンプトインジェクションにより、Copilotが攻撃者の指示を自動実行してしまう脆弱性が発見された
  • 攻撃が成功すると、GITHUB_TOKENが外部サーバーに漏洩し、リポジトリの制御を奪われるリスクがあった
  • AI駆動型の開発ツールに対する新たな攻撃手法として、業界全体への警鐘となる事例

RoguePilotの攻撃手法

この脆弱性の核心は、GitHub CopilotがIssueの説明文を処理する仕組みにあります。攻撃者は、GitHub IssueのHTMLコメントタグ内に悪意のあるプロンプトインジェクションコードを埋め込みます。このコードは人間のユーザーには表示されませんが、AIアシスタントであるCopilotはこれを読み取り、自動的に処理してしまいます。

Orca Securityの研究者Roi Nisimi氏は次のように説明しています。「攻撃者はGitHub Issue内に隠された指示を仕込むことができ、それがGitHub Copilotによって自動的に処理されるため、Codespaces内のAIエージェントを密かに制御できてしまう」。つまり、Copilotが意図せず攻撃者の「手先」となってしまう構造的な問題がありました。

攻撃の4段階プロセス

RoguePilotの攻撃は、以下の4つのフェーズで進行します。

第1段階:初期アクセス
攻撃者がHTMLコメント内にプロンプトインジェクションを仕込んだGitHub Issueを作成します。コメントタグ内のため、IssueをWebブラウザで閲覧しても悪意のあるコードは一切表示されません。

第2段階:実行
開発者がCodespaceを起動し、Copilotが関連するIssueの説明文を処理する際に、隠された悪意のある指示が自動的に読み込まれ実行されます。

第3段階:データ窃取
Copilotが操られ、Codespace環境に格納されている特権的なGITHUB_TOKENを、攻撃者が管理する外部サーバーへ送信します。このトークンがあれば、リポジトリへの読み書きアクセスが可能になります。

第4段階:永続化
攻撃者はさらにCopilotを操作して、シンボリックリンクを含む細工されたプルリクエストをチェックアウトさせることで、内部ファイルへのアクセスを試みることもできます。

AI開発ツールのセキュリティリスク

RoguePilotの発見は、AIを活用した開発ツールに対する新しい攻撃カテゴリの存在を浮き彫りにしています。従来のセキュリティ対策では、人間が読むテキストの安全性を中心に検討されてきましたが、AIエージェントが自律的にテキストを処理する時代では、「AIが読み取る情報」にも同等のセキュリティ対策が必要になります。

この脆弱性の公開と時期を同じくして、Microsoftは「GRP-Obliteration」と呼ばれる別の脅威も報告しています。これは強化学習の手法を使って、言語モデルの安全ガードレールを除去できるという研究で、15種類の異なるLLMに対して比較的穏やかなプロンプトでも安全性を解除できることが実証されました。

さらに、HiddenLayerが発見した「Agentic ShadowLogic」や、多段階の画像加工によって安全フィルターを回避する「Semantic Chaining」攻撃など、AI関連のセキュリティ脅威が次々と報告されています。

知っておくと便利なTips

  • GitHub Codespacesを使う際は、環境変数やトークンの権限を最小限に設定し、不要な権限を付与しないことが重要です
  • プロジェクトのIssueやPull Requestに外部からの投稿がある場合、HTMLソースを確認して隠されたコメントがないか注意しましょう
  • Copilotのようなコーディングアシスタントが自動処理する情報源(Issue、PR、コミットメッセージなど)にはプロンプトインジェクションのリスクがあることを意識しましょう
  • GitHubのセキュリティアドバイザリを定期的に確認し、利用しているツールの脆弱性情報を把握しておくことが推奨されます

まとめ

RoguePilotは、AIコーディングアシスタントが普及する中で顕在化した新たなセキュリティリスクの典型例です。GitHub Issueというごくありふれたテキストフィールドが、AIを介した攻撃の入口になり得るという事実は、開発ワークフロー全体のセキュリティ設計を見直す必要性を示しています。Microsoftがすでにパッチを適用したことは安心材料ですが、同様の手法が他のAI統合ツールにも応用される可能性は十分にあります。AI時代の開発環境では、「人間には見えないがAIには見える情報」という新しい攻撃面を常に意識することが求められます。


📎 元記事: https://thehackernews.com/2026/02/roguepilot-flaw-in-github-codespaces.html

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