ケニア当局がセレブライト製ツールで活動家のスマホを解析――Citizen Labが証拠を発見

雑記

カナダ・トロント大学のCitizen Labが発表した新たな調査報告により、ケニア当局がイスラエル企業Cellebrite(セレブライト)製のフォレンジック抽出ツールを使用して、著名な民主化活動家のスマートフォンに侵入していたことが明らかになりました。商用スパイウェアや監視ツールが市民社会を標的にした最新の事例として、国際的な注目を集めています。

この記事のポイント

  • ケニア当局が民主化活動家ボニファス・ムワンギ氏のスマートフォンに対し、Cellebrite製フォレンジックツールを使用した証拠が発見された
  • 2025年7月の逮捕・拘留中に端末データが抽出され、メッセージや財務情報を含む全データが取得された可能性がある
  • ヨルダンやアンゴラでも類似の監視技術が市民社会に対して悪用されており、世界的な人権問題となっている

Citizen Labの調査内容

トロント大学マンク・スクール・オブ・グローバル・アフェアーズに所属する学際的研究機関Citizen Labは、ケニアの民主化活動家であり2027年大統領選への出馬を計画しているボニファス・ムワンギ氏のスマートフォンが、警察の拘留中にCellebrite製ツールで解析されていた証拠を発見しました。ムワンギ氏は2025年7月に逮捕され、その際にSamsung製スマートフォンが押収されました。調査によると、データ抽出は「2025年7月20日から21日頃」に実施されたとみられています。

9月にスマートフォンが返却された際、端末はパスワードなしでロック解除できる状態になっていました。この不審な変化がきっかけとなり、Citizen Labによる詳細な調査が行われることになりました。研究チームによれば、このツールを使用することで「メッセージ、個人的な資料、個人ファイル、財務情報、パスワード、その他の機密情報を含む、端末内のすべてのデータの完全な抽出」が可能だったとされています。

Cellebriteとは何か

Cellebriteはイスラエルに本社を置くデジタルフォレンジック企業で、法執行機関向けにモバイルデバイスからデータを抽出する技術を提供しています。同社のツールは世界中の警察や捜査機関で広く使用されており、ロックされたスマートフォンからデータを取り出す能力で知られています。

Cellebriteの広報担当者は、同社の技術は「法的なデュープロセスに従い、または適切な同意のもとで、事象発生後の捜査を合法的に支援するためにのみ使用される」と述べています。しかし、今回のケースのように、政治的な動機に基づく監視に利用されるリスクが繰り返し指摘されています。

世界各地で広がる監視技術の悪用

今回のケニアの事例は、監視技術が市民社会に対して悪用されるパターンの一部です。最近では、ヨルダンでも当局がイスラエルのガザ軍事作戦を批判する市民社会活動家に対して、同様の技術を使用していた可能性が指摘されています。

また、アムネスティ・インターナショナルは別の調査で、アンゴラのジャーナリストであるテイシェイラ・カンディド氏のiPhoneが、2024年5月にIntellexa社製のスパイウェア「Predator」の標的にされていたことを報告しています。カンディド氏はWhatsApp経由の悪意あるリンクを開いたことで感染しましたが、感染は1日未満で終了しました。しかし攻撃者はその後も11回にわたり再感染を試みています。

これらの事例は、商用監視ツールが本来の犯罪捜査目的を超えて、ジャーナリストや人権活動家、政治的反体制派を標的にするために悪用されている実態を浮き彫りにしています。

知っておくと便利なTips

  • スマートフォンが一時的に第三者の管理下に置かれた場合、返却後にパスワードの再設定やセキュリティ設定の確認を行うことが重要です
  • Citizen Lab(citizenlab.ca)は、商用スパイウェアや監視技術の悪用に関する調査報告を定期的に公開しており、デジタルセキュリティに関する最新情報を得る上で有用なリソースです
  • デバイスのフォレンジック抽出が疑われる場合、専門家による端末の解析を依頼することで、不正アクセスの痕跡を特定できる可能性があります

まとめ

今回のCitizen Labの調査は、Cellebriteのようなフォレンジックツールが、犯罪捜査の正当な目的を超えて政治的な監視に利用されるリスクを改めて示しました。ケニア、ヨルダン、アンゴラと、世界各地で市民社会を標的とした監視技術の悪用事例が報告されており、デジタル人権の保護に関する国際的な議論の必要性が高まっています。テクノロジー企業の責任ある販売・運用管理と、各国における適切な法的枠組みの整備が急務となっています。セキュリティ技術に関わるすべての人にとって、こうした監視ツールの二面性を理解しておくことは重要です。


📎 元記事: https://thehackernews.com/2026/02/citizen-lab-finds-cellebrite-tool-used.html

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