スーパーボウルLXでAI広告が主役に! AnthropicがOpenAIに宣戦布告、史上初のAI生成CMも登場

2026年2月8日に開催されたスーパーボウルLX(第60回)で、AI関連の広告が史上最多となり、テクノロジー業界の新たな競争の舞台となった。特に注目を集めたのは、Claude開発元のAnthropicによるOpenAIへの挑発的な広告キャンペーンと、ウォッカブランドSvedkaによる史上初の「AI生成」スーパーボウルCMだ。30秒枠で平均800万ドル(約12億円)、一部は1,000万ドル(約15億円)に達する広告枠に、Google、Amazon、Meta、Anthropicなど16社ものテック企業が名を連ねた。

この記事のポイント

  • AnthropicがClaude初のスーパーボウルCMを放映し「AIに広告は来る。でもClaudeには来ない」と宣言
  • OpenAIのSam Altmanが「明らかに不誠実」とAnthropicの広告を激しく批判、AI業界の対立が表面化
  • Svedkaウォッカが史上初の「主にAI生成」されたスーパーボウルCMを制作
  • Google、Amazon、Metaなど大手テック企業もAI機能を前面に押し出した広告を展開

Anthropicの挑発的キャンペーン「A Time and a Place」

Anthropicは、広告代理店Motherと映像監督Jeff Lowによるキャンペーン「A Time and a Place」で、Claude初のスーパーボウルデビューを飾った。試合前に60秒、試合中に30秒の計2本のCMを放映し、Dr. Dreの楽曲「What’s the Difference」をBGMに採用した。

CMの内容は、日常的な質問が広告付きAIアシスタントによって台無しにされる様子をダークコメディとして描いたものだ。例えば、「母親とのコミュニケーション方法」を尋ねると突然クーガーデートの広告が表示されるなど、AIに広告を入れることの不自然さをユーモラスに風刺している。全4本の映像はロサンゼルスで実際の俳優を使って撮影された。

キャンペーンのタグラインは「Ads are coming to AI. But not to Claude.(AIに広告は来る。でもClaudeには来ない)」。これはOpenAIがChatGPTの無料版に広告を導入する計画を発表したことを明確に意識したメッセージだ。Anthropicの最高コミュニケーション責任者は「テクノロジーは心の自転車にもなれるし、注意を奪い合うもう一つの画面にもなりうる」と述べている。

Sam Altmanの激しい反応とAI業界の対立

AnthropicのCMが公開されると、OpenAIのCEO Sam Altmanは即座にX(旧Twitter)で反応した。「まず良い点から言うと、面白かったし笑った」と認めつつも、「なぜAnthropicがこんなに明らかに不誠実なものを作るのか不思議だ」と痛烈に批判した。

Altmanは「我々のサービスでは、Anthropicが描いたような形で広告を表示することは絶対にない」と主張。さらに「Anthropicは金持ちに高価な製品を売っているだけ」「Anthropicは人々がAIで何をするかをコントロールしたがっている」と攻撃をエスカレートさせた。一方でOpenAI自身のスーパーボウル広告については「ビルダーについてのもので、誰でも何でも作れるという内容だ」と述べている。

しかし実際には、OpenAIはブログで「ChatGPTの回答の下部に、現在の会話に関連するスポンサー付きの製品やサービスがある場合、広告をテストする予定」と明記しており、Anthropicの広告が指摘した懸念は的外れとは言い切れない。この舌戦はAI業界の競争が製品だけでなくブランドイメージやビジネスモデルの哲学にまで及んでいることを示している。

史上初のAI生成スーパーボウルCM:Svedkaの挑戦

ウォッカブランドのSvedkaは、スーパーボウル史上初となる「主にAI生成された」30秒CMを放映した。これはまた、スーパーボウル史上初のウォッカ広告でもある。「Shake Your Bots Off」と題されたこのCMでは、ブランドのマスコット「Fembot」と新キャラクター「Brobot」が、Rick Jamesの「Superfreak」のテクノリミックスに合わせてパーティーで踊る様子が描かれている。

制作はAI企業Silversideが担当し、親会社Sazeracのマーケティングチームと協力。ストーリーラインは人間のクリエイターが考案したが、映像の大部分はAIで生成された。顔の表情や体の動きをAIで再現するのに約4ヶ月を要したという。また、FembotのダンスはTikTokで開催されたコンペティションで優勝したナッシュビルのダンサーJessica Rizzardiの振り付けを基にしており、賞金1万ドルが贈られた。

Sazeracの最高マーケティング責任者Sara Saundersは「キャンペーン全体のアイデアは、ロボットが人間にもっと人間らしくあることを思い出させるために戻ってきたということ。メッセージは究極的にはプロヒューマン(人間支持)だ」と説明している。ただし、視聴者の反応は賛否両論で、一部のメディアからは「悪夢のような映像」「AIの恐ろしい未来」と評されている。

その他のAI関連広告

大手テック企業もAI機能を前面に押し出した広告を展開した。

Amazon:Chris Hemsworth主演で「AIが自分を狙っている」というコメディ仕立てのCMを放映。Alexa+がガレージのドアを頭に降ろしたり、泳いでいる最中にプールカバーを閉めたりする様子を描き、AI機能の強化をユーモラスにアピールした。

Google:母と息子がGoogle AIツールを使って新しい家をデザインする温かいストーリーで、Nano Banana Proという画像生成モデルをお披露目した。

Meta/Oakley:Oakley Meta AIスマートグラスの広告で、マーショーン・リンチ、スパイク・リー、ゴルファーのアクシャイ・バティア、YouTuberのIShowSpeedなどが出演。スカイダイバーやマウンテンバイカーなどスリルシーカーがAIグラスでアクティビティを楽しむ様子を描いた。

Xfinity:AIを使って『ジュラシック・パーク』のキャストをデジタル若返りさせたノスタルジックなCMを制作した。

知っておくと便利なTips

  • AnthropicはClaudeを広告なしで維持すると明言しているが、「状況が変わった場合は透明性を持って説明する」という留保条件も付けている
  • OpenAIのChatGPT広告は無料版およびGoティアで導入予定。会話内容に基づくスポンサー広告が回答の下部に表示される形式
  • スーパーボウル広告は30秒で平均800万ドル。AI企業がこの巨額投資を行うこと自体が、AI業界の成熟と一般消費者への訴求力の高まりを示している

まとめ

スーパーボウルLXは、AIが単なるテクノロジーのバズワードから、消費者の日常に浸透した存在であることを改めて示す舞台となった。特にAnthropicとOpenAIの広告を巡る舌戦は、両社のビジネスモデルの根本的な違い——広告収益モデルvs.サブスクリプション専用モデル——を浮き彫りにした。一方、Svedkaの挑戦は、AI生成コンテンツが広告制作のメインストリームに入りつつあることを証明したが、その品質に対する賛否はまだ分かれている。16社ものテック企業が800万ドル超の広告枠を購入したことは、AI業界が「一般消費者の心をつかむ」フェーズに本格的に突入したことの象徴だ。2026年はAI企業にとって、製品の優位性だけでなく、ブランドとしての哲学が問われる年になりそうだ。


📎 元記事: https://techcrunch.com/2026/02/08/super-bowl-60-ai-ads-svedka-anthropic-brands-commercials/

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