NTTドコモが、人工衛星とスマートフォンの直接通信サービスを2026年度初頭に開始する方針を明らかにした。海上や山間部など、従来の地上基地局の電波が届かなかったエリアでも、特別な機器なしにLTEスマートフォンでメッセージの送受信が可能になる。KDDIのau に続き、国内では2社目の衛星直接通信サービスとなる見込みだ。
この記事のポイント
- NTTドコモが2026年度初頭に衛星とスマホの直接通信サービスを開始予定
- 地上基地局の電波が届かない海上・山間部でもLTEスマホでメッセージ送受信が可能に
- KDDIのauに続く国内2社目の衛星直接通信サービスとなる
衛星直接通信とは何か
衛星直接通信サービスとは、低軌道衛星(LEO衛星)を利用して、既存のスマートフォンが直接衛星と通信を行う技術である。従来の衛星通信では専用端末やアンテナが必要だったが、この新技術では一般的なLTE対応スマートフォンをそのまま使用できる点が大きな特徴だ。これにより、登山中や航海中、あるいは災害時に地上の通信インフラが損壊した場合でも、通常のスマートフォンでメッセージの送受信が可能となる。海外ではSpaceXのStarlinkやAST SpaceMobileなどが衛星直接通信の技術開発を進めており、Apple のiPhoneでもiPhone 14以降で衛星経由の緊急SOS機能が搭載されるなど、世界的にもこの分野への注目が高まっている。日本国内でも通信各社が衛星通信サービスの実用化に向けた取り組みを加速させており、ドコモの参入はこの流れを一層推進するものとなる。
ドコモのサービス概要と対象エリア
ドコモが開始を予定している衛星直接通信サービスでは、まずメッセージ送受信機能からスタートする見込みだ。対象となるのは、日本国内において地上基地局の電波が届かないエリア、具体的には海上や山間部、離島などが想定される。日本の国土は約7割が山地であり、また広大な排他的経済水域を有することから、地上基地局だけではカバーしきれないエリアが数多く存在する。こうした通信空白地帯の解消は、登山者や漁業従事者の安全確保はもちろん、災害時の通信手段確保という観点からも極めて重要な課題である。ドコモのLTEスマートフォンユーザーが対象となるため、新たに専用端末を購入する必要はなく、既存の端末でサービスを利用できる可能性が高い。ただし、対応機種や具体的な料金体系についてはまだ詳細が明らかにされていない。
auとの競争と国内通信業界への影響
KDDIのauは、SpaceXのStarlinkと提携し、すでに衛星直接通信サービスの展開を進めている。ドコモがこれに続くことで、国内の主要キャリア間で衛星通信サービスの競争が本格化することになる。ソフトバンクも衛星通信分野への参入を表明しており、今後数年で日本の通信環境は大きく変化する可能性がある。衛星直接通信は、単なる通信エリアの拡大にとどまらず、防災・減災、海洋産業、農林業、観光業など幅広い分野への波及効果が期待されている。特に日本は自然災害が多い国であり、地上インフラに依存しない通信手段の確保は国家レベルの課題でもある。各キャリアがどのようなパートナーシップを組み、どのような料金体系でサービスを提供するかが、今後の競争の焦点となるだろう。
技術的な課題と今後の展望
衛星直接通信サービスの実用化にはいくつかの技術的課題がある。まず、低軌道衛星は地球を高速で周回するため、1基の衛星がカバーできる時間は限られる。十分なサービス品質を確保するには、多数の衛星によるコンステレーション(衛星群)が必要となる。また、現時点ではデータ通信速度に制約があり、テキストメッセージの送受信は可能でも、音声通話や動画のストリーミングには対応が難しいとされている。しかし、技術の進歩により、将来的にはより高速な通信が可能になると見込まれている。ドコモとしては、まずメッセージサービスで実績を積み、段階的にサービスを拡充していく戦略と考えられる。2026年度初頭のサービス開始に向けて、衛星パートナーとの連携強化や技術検証が進められていくことだろう。
知っておくと便利なTips
- 衛星直接通信は屋外の空が見える場所で利用する必要がある。建物内や密林では衛星との通信が困難な場合がある
- 現時点では主にテキストメッセージの送受信が中心。緊急時のSOS発信や位置情報共有に特に有効
- 既存のLTEスマートフォンで利用できる見込みだが、対応機種は今後発表される詳細を確認する必要がある
まとめ
NTTドコモが2026年度初頭に衛星とスマートフォンの直接通信サービスを開始する。KDDIのauに続く国内2社目の参入であり、日本の通信業界における衛星直接通信の競争が本格化する。このサービスにより、海上や山間部など地上基地局の電波が届かなかったエリアでも、既存のLTEスマートフォンでメッセージの送受信が可能になる。登山や航海時の安全確保、災害時の通信手段確保など、社会的意義も大きい。今後の対応機種や料金体系の発表に注目したい。通信空白地帯の解消に向けた各キャリアの取り組みが、日本全体の通信インフラの強靭化につながることが期待される。
📎 元記事: https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2602/09/news097.html


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