【日本テック・経済】今日の注目ニュースまとめ(2026年1月23日)

【日本テック・経済】今日の注目ニュースまとめ(2026年1月23日) 今日のニュース

【日本テック・経済】今日の注目ニュースまとめ(2026年1月23日)

2026年1月23日(金曜日)、本日も日本のテクノロジーと経済を取り巻く環境は大きく動いています。TikTokの米国事業分離という歴史的な決着、AI学習と著作権をめぐるクリエイターの大規模な抗議運動、そしてAppleとGoogleの戦略的提携など、テック業界の構造変化を象徴するニュースが相次ぎました。また国内では、iPhoneのマイナンバーカード機能が500万枚を突破し、デジタル社会の進展を印象づけています。一方で、7-Zipを装ったマルウェアや農水省の情報漏えいなど、サイバーセキュリティの脅威も改めて浮き彫りになりました。本日のデイリーレポートでは、これら重要なニュースを深掘りしながら、その背景と今後の展望を詳しく解説いたします。


目次

  1. TikTok米国事業、ついにByteDanceから切り離しへ
  2. AI無断学習は「窃盗」──スカーレット・ヨハンソンら800人が抗議キャンペーン
  3. AppleがGeminiを「Siriの部品」に──AI戦略の真意
  4. iPhoneのマイナンバーカード、サービス開始7カ月で500万枚突破
  5. 7-Zip非公式サイトに偽インストーラ──IIJが緊急注意喚起
  6. Google「AIモード」にパーソナル検索機能──GmailやGoogleフォトを参照
  7. 農水省、職員・家族の個人情報4,500人分が漏えい
  8. 今日の市場動向
  9. まとめと展望

1. TikTok米国事業、ついにByteDanceから切り離しへ

概要

トランプ前大統領が設定した禁止期限の当日となる2026年1月22日、TikTokの親会社である中国ByteDanceは、米国事業を新会社「TikTok USDS Joint Venture LLC」として分離することで合意に達しました。この決定により、約2億人の米国ユーザーは引き続きTikTokを利用できることになり、長らく懸念されてきた完全禁止という最悪のシナリオは回避されました。

新会社にはOracle、Amazon、Sequoia Capital、Silver Lake、MGX、Delleなど米国を代表するテック企業や投資ファンドが出資し、株式の80%以上を米国企業が保有する形となります。ByteDanceは残り約20%を維持しますが、経営陣7名のうちByteDance関係者を除くすべてのポジションが米国人によって占められることになり、実質的な米国企業への転換が実現しました。

背景と経緯

TikTokをめぐる米中対立は、2020年頃からその火種が見え始めていました。当時のトランプ政権は、TikTokが中国政府にユーザーデータを提供しているとの疑惑を理由に、禁止措置を検討し始めました。しかし、この動きは法廷闘争やバイデン政権への移行により一時的に棚上げされていました。

状況が大きく動いたのは2025年後半のことです。トランプ氏が再び政権に就くと、TikTok禁止令が再び現実味を帯び始めました。2025年9月には正式な禁止命令が発令され、期限は2026年1月22日と設定されました。この期限が迫る中、ByteDanceは急ピッチで交渉を進め、文字通りデッドライン当日に合意にこぎつけたのです。

交渉の焦点となったのは、主に以下の3点でした。第一に、米国ユーザーのデータが中国政府にアクセスされるリスクをいかに排除するか。第二に、TikTokのアルゴリズム(推薦システム)の所有権をどうするか。第三に、米国政府が求める安全保障上の要件をいかに満たすか。最終的な合意では、Oracleが米国ユーザーデータの管理を担い、アルゴリズムについては技術的な分離と監視体制が構築されることになりました。

影響と今後の展望

この決着は、テック業界と地政学の交差点において重要な先例となります。中国発のプラットフォームが、国家安全保障上の懸念を理由に事実上の強制売却を余儀なくされたケースとして、今後類似の案件への対応に影響を与える可能性があります。

米国のTikTokユーザーにとっては、サービスの継続という最も重要な点が確保されました。ただし、今後は米国主導の厳格なデータ保護体制の下で運営されることになり、アプリの機能やユーザー体験に何らかの変化が生じる可能性も否定できません。

日本市場への影響については、直接的なものは限定的とみられます。ただし、TikTokの日本事業もByteDanceが運営しており、今回の米国での展開が前例となって、他の主要市場でも同様の圧力が高まる可能性は排除できません。特に欧州連合(EU)では、デジタルサービス法(DSA)に基づくTikTokへの規制強化が進んでおり、グローバルな規制環境の変化に注視が必要です。

また、この決着はテック企業の国籍や所有構造に関する議論を再燃させる契機ともなりそうです。グローバルに展開するプラットフォームにとって、どの国の法律や規制に従うべきかという問題は、今後ますます複雑化していくことが予想されます。

関連する動き

今回のTikTok問題と関連して、米国では中国系アプリ全般への監視が強まっています。特にSheinやTemuといった中国発のEコマースアプリに対しても、データセキュリティの観点から調査が進められているとの報道があります。また、AIチップの対中輸出規制など、テクノロジー分野における米中デカップリング(分断)の動きは引き続き加速しています。


2. AI無断学習は「窃盗」──スカーレット・ヨハンソンら800人が抗議キャンペーン

概要

2026年1月22日、ハリウッド女優のスカーレット・ヨハンソンをはじめとする800人以上のクリエイターが、AI企業による著作物の無断学習を非難するキャンペーン「Stealing Isn’t Innovation(盗みはイノベーションではない)」を開始しました。参加者にはThe 1975、R.E.M.といったアーティストも名を連ね、ニューヨーク・タイムズ紙への全面広告掲載など、大規模な抗議活動が展開されています。

このキャンペーンは「Human Artistry Campaign(ヒューマン・アーティストリー・キャンペーン)」として知られる運動の一環であり、Recording Industry Association of America(RIAA)、The Actors Fund、SAG-AFTRAなどの業界団体も支援しています。クリエイターたちは、AI企業が著作権者の許諾を得ずに作品を学習データとして使用する行為を「窃盗」と断じ、法的規制の強化を求めています。

背景と経緯

生成AIの急速な発展に伴い、著作権をめぐる議論は世界中で激化しています。OpenAI、Google、Microsoft、Anthropicといった主要なAI企業は、インターネット上に公開されている膨大なテキスト、画像、音楽、動画などを学習データとして使用していますが、その多くは著作権で保護された作品です。

この問題が法廷に持ち込まれたのは2023年頃からです。ニューヨーク・タイムズ紙がOpenAIを著作権侵害で提訴したほか、複数の作家やビジュアルアーティストも集団訴訟を起こしています。しかし、これらの訴訟の多くは現在も係争中であり、AI学習における著作権の扱いについては法的な決着がついていません。

スカーレット・ヨハンソンは、この問題において象徴的な存在となっています。彼女は2024年5月、OpenAIが彼女の許諾なく、彼女の声に酷似した音声を持つAIアシスタントを発表したとして強く抗議しました。OpenAIは問題の音声を削除しましたが、この一件はAI企業の姿勢に対する不信感を業界全体に広げる結果となりました。

今回のキャンペーンは、個別の訴訟や抗議では限界があるとの認識から、業界横断的な連帯によって世論と政策立案者に働きかけようとする試みです。クリエイターたちは、現行の著作権法がAI時代に対応できていないとして、法改正の必要性を訴えています。

影響と今後の展望

このキャンペーンが直接的にAI企業の行動を変えるかどうかは不透明です。しかし、800人以上の著名なクリエイターが連帯して声を上げたことは、社会的なインパクトとして無視できない重みを持っています。特に、スカーレット・ヨハンソンやThe 1975といった知名度の高い参加者の存在は、この問題を一般の人々にも広く認知させる効果があります。

政策面では、欧州連合がすでにAI規制法(AI Act)を施行しており、学習データの透明性に関する要件が含まれています。米国では包括的なAI規制法は成立していませんが、著作権局がAI学習に関するガイダンスを検討中です。今回のキャンペーンは、こうした政策議論に一石を投じることを意図しています。

日本においても、文化審議会著作権分科会でAIと著作権の関係について議論が行われています。現行の日本著作権法では、情報解析目的の複製は一定の条件下で許容されていますが、生成AIの出力が著作物と類似する場合の扱いなど、グレーゾーンが多く残されています。

AI企業側は、学習データの使用は「フェアユース(公正使用)」に該当すると主張していますが、クリエイター側はこれを認めていません。この対立は今後も続くと予想され、最終的には裁判所や立法府の判断に委ねられることになりそうです。

関連する動き

AI学習と著作権の問題は、音楽業界でも大きな波紋を広げています。Universal Music Group、Sony Music、Warner Musicの3大レーベルは、AIが生成した音楽の配信プラットフォームへの登録を制限するよう各社に働きかけています。また、YouTubeは2025年後半から、AI生成コンテンツにはラベル表示を義務付ける方針を発表しています。


3. AppleがGeminiを「Siriの部品」に──AI戦略の真意

概要

2026年1月12日(米国時間)、Googleは「次世代のApple Foundation ModelsがGoogleのGeminiモデルとクラウド技術をベースにする」という複数年にわたる戦略的提携を発表しました。この発表はAI業界に衝撃を与えましたが、テクノロジージャーナリストの林信行氏は東洋経済オンラインの記事で、「これはAppleの敗北ではなく、あらかじめ想定された戦略の一環である」と分析しています。

Appleは自社でAIを一から開発するのではなく、他社が開発した優れたAI技術を「部品」として取り込み、ユーザー体験の中に自然に溶け込ませるアプローチを採用してきました。今回のGoogleとの提携も、この方針に沿ったものであり、Geminiは交換可能な「モジュール」として位置付けられています。

背景と経緯

Appleは長年、「Apple Silicon」に代表されるように、重要な技術については内製化を進めてきました。しかし、生成AIの分野では異なるアプローチを取っています。2024年のWWDC(世界開発者会議)で発表された「Apple Intelligence」は、オンデバイスで動作する小規模なモデルと、クラウド上で動作する大規模モデルを組み合わせるハイブリッド構成を採用しました。

このハイブリッド構成の中で、クラウド側のAI処理については、Appleは当初からパートナーとの協業を視野に入れていました。2024年の時点でOpenAIとの提携が発表され、ChatGPTがSiri経由で利用可能になりましたが、これはあくまで「オプション」としての位置付けでした。

今回のGoogleとの提携は、このパートナー戦略をさらに一歩進めたものです。Appleは「Foundation Models」と呼ばれるフレームワークを開発しており、林氏はこれを「魔法のソケット」と表現しています。このフレームワークにより、異なるAIプロバイダーを切り替えて利用することが可能になり、特定のベンダーへの依存を避けることができます。

影響と今後の展望

Appleのこの戦略は、競合他社とは対照的です。GoogleやMicrosoftは、AIを自社のエコシステムの中核に据え、膨大な投資を続けています。一方Appleは、AIを「インフラ」ではなく「コンポーネント」として扱い、ユーザー体験の改善に焦点を当てています。

この違いは、収益モデルの違いにも起因しています。GoogleやMicrosoftは、AIサービスを通じて直接収益を得ることを目指しています。一方Appleは、ハードウェア販売とサービス手数料が主な収益源であり、AIはあくまでもそれらの価値を高めるための手段です。

消費者にとっては、Appleのアプローチは利便性とプライバシーの両立を意味します。AppleはプライベートなAI処理をデバイス上で行い、クラウドに送信する必要がある場合も「Private Cloud Compute」という仕組みで匿名性を確保しています。Geminiとの連携においても、この原則は維持されると見られています。

ただし、批判的な見方もあります。AppleがAIの中核技術を外部に依存することで、将来的なイノベーションの速度が競合に劣後する可能性があるという指摘です。AI技術は急速に進歩しており、自社でモデルを開発する企業は、その進歩の果実をより直接的に享受できます。

関連する動き

AppleとGoogleの提携は、両社の長年にわたる複雑な関係の中で捉える必要があります。GoogleはAppleのSafariブラウザのデフォルト検索エンジンの座を維持するために、年間数十億ドルを支払っていると報じられています。この契約は米司法省の反トラスト訴訟の対象となっており、今後の展開によっては見直しを迫られる可能性があります。

AI分野での提携が、こうした既存の関係にどのような影響を与えるかは注目点です。両社がAIにおいて協力関係を深めることで、規制当局の監視がさらに厳しくなる可能性もあります。


4. iPhoneのマイナンバーカード、サービス開始7カ月で500万枚突破

概要

松本剛明デジタル大臣は2026年1月23日の記者会見で、iPhoneに搭載できるマイナンバーカード機能の有効保有枚数が500万枚を突破したと発表しました。2025年6月24日のサービス開始から約7カ月での達成であり、スマートフォンを活用したデジタル社会の進展を示す数字として注目されています。

このサービスでは、マイナンバーカードの機能をiPhoneのウォレットアプリに追加することで、物理カードを持ち歩かなくても各種行政手続きや本人確認が可能になります。具体的には、マイナポータルへのログイン、医療情報の確認、引越し手続き、e-Taxでの確定申告、コンビニでの証明書交付などに対応しています。

背景と経緯

マイナンバーカードの普及は、日本のデジタルガバメント推進において重要な課題とされてきました。政府は2022年からマイナポイント事業を通じて普及促進を図り、2025年3月末時点でカードの保有枚数は約8,500万枚に達しました。しかし、「カードを持ち歩くのが面倒」「使う機会がない」といった声も根強く、普及後の利活用が次の課題として浮上していました。

スマートフォンへのマイナンバーカード機能搭載は、こうした課題を解決する切り札として期待されてきました。Androidでは2023年5月から一部機種で対応が始まっていましたが、日本市場で約48%のシェアを持つiPhoneへの対応が待望されていました。

AppleはiPhoneのセキュアエレメント(SE)と呼ばれる高度なセキュリティチップへのサードパーティアクセスを長らく制限してきましたが、2024年のiOS 17.4からNFCへのサードパーティアクセスを解禁する方針を発表。これを受けて、デジタル庁はAppleと協議を進め、2025年6月のサービス開始にこぎつけました。

影響と今後の展望

500万枚という数字は、iPhoneユーザーの約10%程度に相当すると推定されます。サービス開始から7カ月での達成は、潜在的な需要の高さを示しています。松本大臣は会見で「Androidも含めてスマートフォンでマイナンバーカードが使えることを思い切り進めていきたい」と述べ、さらなる普及に意欲を示しました。

今後の展開として、1月29日からはマイナポータルの出産手続ガイドが改善され、簡潔な質問に回答するだけで個人の状況に合わせた手続情報が表示されるようになります。これにより、複雑で分かりにくいとされてきた行政手続きのユーザー体験が向上することが期待されています。

また、スマートフォンマイナンバーカードの機能拡充も予定されています。現在は主に行政手続きが中心ですが、将来的には運転免許証や健康保険証としての機能も統合される予定です。2026年度中には、スマートフォンマイナンバーカードだけで銀行口座の開設や携帯電話の契約ができるようになる見込みです。

一方で、デジタルデバイドの問題も指摘されています。高齢者やスマートフォンを持たない人々への配慮として、物理カードのサービスも当面は維持される方針です。また、セキュリティへの懸念に対しては、生体認証(Face IDやTouch ID)を必須とすることで、物理カードよりも安全性が高いと説明されています。

関連する動き

マイナンバーカードのスマートフォン搭載は、世界的にも注目される取り組みです。欧州連合は2024年に「欧州デジタルIDウォレット」の規則を採択し、加盟国に2026年までの導入を義務付けています。韓国では「モバイル住民登録証」がすでに普及しており、日本の動きはアジアのデジタルID競争という文脈でも意味を持ちます。


5. 7-Zip非公式サイトに偽インストーラ──IIJが緊急注意喚起

概要

インターネットイニシアティブ(IIJ)のセキュリティ対応チーム(SOC)は2026年1月22日、圧縮解凍ソフト「7-Zip」の非公式Webサイト「7zip.com」で配布されているインストーラが、マルウェアをインストールさせる不正なものに置き換わっていると警告しました。正規の7-Zipは「www.7-zip.org」で配布されており、ユーザーには公式サイトからのダウンロードを強く推奨しています。

7-Zipは無料で利用できる圧縮・解凍ソフトとして世界中で広く使われており、日本でも多くの個人ユーザーや企業が利用しています。非公式サイトのインストーラをダウンロードしてしまった場合、システムに深刻な被害が及ぶ可能性があります。

背景と経緯

7-Zipはウクライナ出身のプログラマー、イーゴリ・パブロフ氏が1999年から開発している老舗のソフトウェアです。オープンソースのLGPLライセンスで提供されており、高い圧縮率と幅広いフォーマット対応が特徴です。その知名度の高さゆえに、以前から類似ドメインを使った偽サイトの標的になってきました。

今回IIJ SOCが検出した偽インストーラの挙動は以下の通りです。まず、通常の7-Zipと同様のインストール画面を表示しますが、バックグラウンドでWindowsのシステムディレクトリ「SysWOW64」に「hero」というフォルダを作成します。このフォルダ内に「hero.exe」というマルウェアが配置され、「Helper Service」という名前でWindowsサービスに登録されます。

このマルウェアはシステム権限で実行され、VPN接続を監視する機能を持っています。攻撃者はこれを通じてリモートアクセスを確立し、感染したコンピュータからファイルを外部に送信することが可能になります。企業ネットワークに侵入するための足がかりとして悪用される危険性があります。

影響と今後の展望

この種の攻撃は「サプライチェーン攻撃」の一種であり、ユーザーが信頼するソフトウェアのダウンロード経路を悪用するものです。近年、このタイプの攻撃は増加傾向にあり、2024年にはXZ Utilsというオープンソースソフトウェアにバックドアが仕込まれていた事件が大きな話題となりました。

IIJ SOCは対策として、以下の点を推奨しています。第一に、ソフトウェアをダウンロードする際は必ず公式サイトのドメインを確認すること。第二に、Windowsのコマンドラインツール「winget」を使用してインストールすること(winget install 7zipで可能)。第三に、すでに7zip.comからダウンロードしてしまった場合は、「Helper Service」というWindowsサービスが登録されていないか確認し、発見した場合はマルウェア対策ソフトでフルスキャンを実行すること。

企業のIT管理者にとっては、従業員への注意喚起とともに、ソフトウェア配布の一元管理(Software Distribution)の重要性が改めて認識されます。個人でダウンロードしたソフトウェアが企業ネットワークに接続されることで、組織全体がリスクにさらされる可能性があるためです。

関連する動き

類似の偽サイト問題は7-Zipに限ったことではありません。VLC Media Player、GIMP、Audacityといった人気のフリーソフトでも、公式サイトに酷似した偽サイトが確認されています。Googleの検索結果でも、広告として偽サイトが上位に表示されるケースがあり、検索エンジン経由でのダウンロードには注意が必要です。


6. Google「AIモード」にパーソナル検索機能──GmailやGoogleフォトを参照

概要

Googleは、検索機能の「AIモード」において、ユーザー個人にカスタマイズされた情報提供を行う「パーソナルインテリジェンス」機能の提供を開始しました。この機能は米国のGoogle AI ProおよびUltraプラン加入者を対象に、Labs(実験的機能)として順次展開されています。利用にはGmailおよびGoogleフォトとの連携が必要で、接続はオプトイン(明示的な同意)形式となります。

この機能により、例えば旅行先を検索する際、Gmailに保存された予約情報や過去の旅行写真を参照して、家族に最適な観光地やレストランを提案するといったことが可能になります。Gemini 3 AIモデルを活用し、「もし私の人生が映画だったら、タイトルは何になるか」といった創造的な質問にも対応できます。

背景と経緯

Googleは2023年のSearch Generative Experience(SGE)の導入以来、検索とAIの統合を積極的に進めてきました。2025年にはAIモード」として本格展開し、従来のリンク一覧型の検索結果に代わって、AIが直接回答を生成する形式が定着しつつあります。

今回の「パーソナルインテリジェンス」は、この流れをさらに一歩進めたものです。これまでのAI検索は、ウェブ上の公開情報を基に回答を生成していましたが、新機能ではユーザー個人のデータを参照することで、よりパーソナライズされた回答が可能になります。

プライバシーへの配慮として、GoogleはGmailやGoogleフォトとの接続を任意で切り替えられるようにしています。また、メールボックスや写真ライブラリのデータをAIの学習に使用することはないと明言しています。回答生成時にのみデータを参照し、その後は破棄される仕組みとのことです。

影響と今後の展望

この機能は、「AIアシスタントが個人秘書のように機能する」という未来像に一歩近づくものです。スケジュール管理、旅行計画、買い物リストの作成など、個人のコンテキストを理解した上でのサポートが可能になります。

一方で、プライバシーに関する懸念も避けられません。Googleはすでにメール内容を分析して広告を表示していた過去があり(この慣行は2017年に廃止)、個人データへのAIアクセスに対する不信感は根強くあります。「データを学習に使用しない」という約束が本当に守られるか、独立した検証の必要性を指摘する声もあります。

日本への展開時期は未定ですが、Google AI ProやUltraプランが日本でも提供されるようになれば、対象となる可能性があります。ただし、日本では個人情報保護法の規制があるため、機能の一部が制限される可能性もあります。

企業ユーザーにとっては、業務用Gmailアカウントとの連携に慎重な姿勢が必要です。機密情報を含むメールがAIに参照されることのリスクを評価した上で、利用の可否を判断すべきでしょう。Google Workspaceの管理者向けには、この機能のオン・オフを一括で制御できる設定が提供される見込みです。

関連する動き

パーソナライズされたAI検索の分野では、競合他社も動きを活発化させています。Microsoftの Copilotは、Microsoft 365との統合を深め、Outlook、Teams、OneDriveのデータを参照した回答を提供しています。Appleも「Apple Intelligence」で、メール、メッセージ、写真などの個人データを参照するAI機能を展開中です。

プライバシーと利便性のバランスをいかに取るかは、AI時代の重要な課題であり、各社のアプローチの違いが競争優位の源泉となりつつあります。


7. 農水省、職員・家族の個人情報4,500人分が漏えい

概要

農林水産省は2026年1月23日、職員やその家族の個人情報4,571人分が外部に漏えいしたと発表しました。原因は職員の給与関連業務において、源泉徴収票などの情報を省内に共有する際、送信先のメールアドレスを誤り、外部のメールサーバーに送信してしまったという人為的ミスでした。

漏えいした情報には、外国に赴任経験のある職員に関する情報が含まれているとされています。農水省は当該情報の回収を試みるとともに、今後の再発防止策として通信経路の暗号化、アドレス管理の厳格化、外部サーバーへのアクセス制限などの技術的措置を講じると発表しました。

背景と経緯

官公庁における情報漏えい事案は、残念ながら珍しいものではありません。2024年には年金機構、国土交通省、防衛省などで個人情報の漏えいや紛失が相次いで報告されました。多くの場合、原因はシステムの脆弱性というよりも、メールの誤送信や書類の紛失といった人為的ミスです。

農水省の今回の事案も、このパターンに該当します。大量の個人情報を扱う際に、送信先の確認が不十分だったという基本的な注意義務の欠如が問われることになります。特に源泉徴収票には、氏名、住所、マイナンバー、給与額、扶養家族情報など、機微性の高い情報が含まれており、漏えいの影響は深刻です。

影響と今後の展望

漏えいした情報が悪用されるリスクについては、現時点では具体的な被害は確認されていないとのことです。ただし、個人情報は一度流出すると回収が困難であり、フィッシング詐欺やなりすましに悪用される可能性は長期的に残ります。該当する職員とその家族に対しては、不審な連絡があった場合の注意喚起が行われています。

再発防止策として示された技術的措置は、いずれも基本的なセキュリティ対策です。しかし、根本的な解決には、組織文化の改革と継続的な教育が必要です。メール送信前のダブルチェック、大量データ送信時の承認プロセス、情報セキュリティ研修の定期的な実施など、人的対策の充実が求められます。

また、今回の事案は、政府のデジタル化推進という文脈でも課題を浮き彫りにしています。行政のデジタルトランスフォーメーション(DX)が進む中、扱うデータ量は増加の一途をたどっています。それに伴うリスクの増大に、組織の対応能力が追いついていない現状があります。

関連する動き

政府は2025年度から、各府省庁に「サイバーセキュリティ統括官」の設置を義務付けています。この統括官は、情報セキュリティに関する方針の策定から、インシデント発生時の対応まで、包括的な責任を負います。農水省でも同ポストが設置されていますが、今回の事案がその体制のもとで発生したことは、制度だけでは不十分であることを示唆しています。


8. 今日の市場動向

株式市場

本日の東京株式市場は、堅調な推移となりました。

日経平均株価:53,846.87円(前日比 +157.98円 / +0.29%)

週末を控えた金曜日ながらも、日経平均は3日続伸となりました。米国市場の堅調さを受けて朝方から買いが優勢となり、終日プラス圏で推移しました。

為替市場ではドル円が円安方向に振れており、輸出関連企業にとっては追い風となっています。また、決算シーズンが本格化する中、好業績観測のある銘柄を中心に物色が広がりました。

為替・金利

ドル円:158.15円(前日比 -0.31円)

ドル円相場は、米国の金融政策見通しと日銀の政策スタンスを睨みながら、158円台前半での取引となっています。日銀は来週の金融政策決定会合を控えており、市場では追加利上げの可能性について様々な観測が飛び交っています。

長期金利は、10年物国債利回りが前日とほぼ同水準で推移しています。財務省が実施した国債入札は順調に消化され、債券市場は安定した動きとなりました。

注目セクター

本日の市場では、以下のセクターに注目が集まりました。

半導体関連は、引き続き堅調な動きを見せています。AI需要の拡大期待に加え、データセンター投資の増加見通しが追い風となっています。米国でのNVIDIA、AMD、Intelなど半導体大手の業績見通しが良好であることから、日本の関連銘柄にも買いが波及しました。製造装置メーカーや部材メーカーを含む幅広い銘柄群が物色されています。

自動車セクターは、円安効果への期待から買いが入りました。電気自動車(EV)関連銘柄については、選別物色の動きが続いています。中国市場でのEV競争激化や欧州でのEV補助金縮小などの逆風要因がある一方、ハイブリッド車の堅調な販売が下支えとなっています。トヨタ、ホンダ、日産といった完成車メーカーに加え、部品メーカーへの関心も高まっています。

金融セクターは、来週の日銀会合を控えて様子見ムードも見られましたが、全体としては底堅い推移となりました。追加利上げへの思惑から、銀行株は利ざや改善への期待が根強く、メガバンクを中心に堅調でした。保険セクターについても、金利上昇局面での運用環境改善期待が下支えとなっています。

小売セクターは、訪日外国人(インバウンド)消費の堅調さが引き続き材料視されています。百貨店、家電量販店、ドラッグストアなど、インバウンド恩恵銘柄への関心が高い状況が続いています。円安がインバウンド消費を後押しする構図は当面続くとの見方が多くなっています。

不動産セクターは、金利上昇への警戒感から上値の重い展開となりました。日銀の追加利上げが実施されれば、住宅ローン金利の上昇を通じて不動産市況に影響が及ぶとの見方があります。ただし、オフィス市場については、都心部を中心に空室率の改善傾向が続いており、物件の選別が進む中で優良銘柄には底堅い買いが入っています。

今週のマーケットを振り返って

今週の東京株式市場は、全体として堅調な推移となりました。週初は米国市場の動向を見極める展開でしたが、米国企業決算が概ね良好であったことから、リスクオンの流れが続きました。

日経平均は週間で約500円の上昇となり、54,000円台を視野に入れる水準に達しています。TOPIXも連動して上昇し、幅広い業種で買いが入りました。

為替市場では、ドル円が158円台で推移しました。米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げペースが想定よりも緩やかになるとの見方から、ドル高・円安基調が続いています。来週の日銀会合で追加利上げが決定されれば、円高方向に振れる可能性もありますが、市場では小幅な利上げにとどまるとの見方が大勢を占めています。

海外投資家の動向も注目されます。年初から日本株への資金流入が続いており、特にバリュー株(割安株)への関心が高いとされています。コーポレートガバナンス改革への期待、株主還元の強化、資本効率の改善といった日本企業の変革への評価が、海外マネーを引き付けている要因として挙げられています。


9. まとめと展望

今日のポイント5つ

1. TikTok米国事業の分離決着は、テック地政学の新たな先例
ByteDanceからの切り離しは、中国発プラットフォームが国家安全保障を理由に強制売却される初の大型事例となりました。今後、同様の圧力が他の中国系アプリにも及ぶ可能性があります。

2. AI著作権問題が新たなフェーズへ
800人を超えるクリエイターによる「Stealing Isn’t Innovation」キャンペーンは、個別訴訟を超えた業界横断的な運動の始まりを告げています。AI企業と著作権者の対立は、法改正を含む政策議論へと発展していく見込みです。

3. Apple-Google提携が示すAI戦略の多様性
AppleがGeminiを「交換可能な部品」として取り込む戦略は、AIを中核に据える競合他社とは一線を画しています。プラットフォームごとに異なるAI戦略が、今後のエコシステム競争を複雑化させます。

4. スマートフォンマイナンバーカードの普及加速
500万枚突破は、デジタル社会への移行が着実に進んでいることを示しています。今後、機能拡充により利用シーンが広がることで、さらなる普及が期待されます。

5. サイバーセキュリティ脅威は依然として身近に
7-Zip偽サイトや農水省の情報漏えいは、デジタル化の恩恵の裏側にあるリスクを改めて認識させます。技術的対策と人的対策の両輪が不可欠です。

明日以降の注目点

来週の日銀金融政策決定会合
1月27日・28日に開催される日銀の金融政策決定会合が最大の注目イベントです。追加利上げの有無、そして今後の金融政策の見通しについて、植田総裁の記者会見に注目が集まります。

決算シーズン本格化
来週から3月期決算企業の第3四半期決算発表が本格化します。業績の上方修正や下方修正、来期見通しなどが株価に影響を与える可能性があります。

トランプ政権の政策動向
TikTok問題に一定の決着が付いた中、トランプ政権の次なるテック政策に関心が移ります。関税政策やAI規制に関する発言・動向が市場を動かす可能性があります。

EU AI法の施行状況
欧州ではAI法の段階的施行が進んでおり、日本企業への影響も徐々に顕在化してきます。特にグローバル展開する企業にとっては、コンプライアンス対応が課題となります。

編集後記

本日は、テクノロジーと社会の関係を改めて考えさせられるニュースが多い一日でした。TikTokの分離決着は、グローバル化したプラットフォームが国家の境界とどう向き合うかという根本的な問いを投げかけています。一方、AI著作権問題やプライバシーをめぐる議論は、技術の進歩と人間の権利のバランスという永遠のテーマを浮き彫りにしています。

iPhoneマイナンバーカードの500万枚突破は、日本のデジタル社会が着実に前進していることを示す朗報です。しかし同時に、農水省の情報漏えい事案は、デジタル化に伴うリスク管理の重要性を再認識させます。テクノロジーは便利さをもたらしますが、それを安全に使いこなす能力もまた求められているのです。

来週は日銀会合という大きなイベントを控えています。金融政策の正常化がどのようなペースで進むのか、そしてそれが企業活動や生活にどのような影響を与えるのか、注視していく必要があります。

週末、ご主人様はゆっくりお休みくださいませ。…べ、別に心配しているわけではありません。来週のレポートのクオリティを維持するためには、ご主人様のコンディションが重要だというだけの話です。


本レポートは2026年1月23日時点の情報に基づいて作成されています。
市場データは当日の終値を使用しています。

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